音声対話システムでは周囲やユーザの状況はあまり考慮されない.そこで,音声自体をできるだけ利用し,周囲状況を推定する技術を提案する.単一マイクロホンにおいて,音声から音響伝達周波数特性を推定することで,発話者の口からマイクまでのおよその距離を推定する.距離ごとに音響伝達周波数特性のテンプレートを用意しておく.当面,雑音はほぼないと仮定し,あらかじめ用意した雑音のないクリーン音声モデルと入力音声との周波数特性の差分を推定する.この差分が距離に依存した特性となり,テンプレートとの照合により,最も近いものが示す距離が推定された距離となる.1 mより近い/遠いの識別では8割程度の精度が得られた.
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