研究課題/領域番号 |
23500232
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
徐 剛 立命館大学, 情報理工学部, 教授 (90226374)
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研究分担者 |
伊坂 忠夫 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (30247811)
吉岡 伸輔 立命館大学, スポーツ健康科学部, 助教 (20512312)
深井 寛修 東京理科大学, 理工学部, 助教 (50571585)
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キーワード | 球技の3次元運動解析 / 同期多カメラによる実時間3次元計測 / 並列分散処理 / 背景差分法 / 視体積交差法 / 選手の背番号認識 / 球体の追跡 / カメラゲインの自動制御 |
研究概要 |
平成24年度においては、以下の成果が得られた。 1.平成23年度に購入した16台のカメラと16台のノートPCをGigEで接続し、電源供給と同期撮影を実現した。これにより、サッカー場のような大きな空間に対しても同期多カメラによる3次元計測が可能となった。 2.各々のカメラに接続されているノートPCにて背景差分などの2次元処理を行った結果をサーバーPCに送り、サーバーPCで視空間交差法を用いて3次元復元を秒30フレームのレートで行うことができた。これは膨大な計算をネットワークを介してPCクラスターに分散させる技術を用いた結果、実現できた。 3.3次元復元した選手を鳥瞰図に投影し、秒30フレームで選手の実時間追跡を実現した。立命館大学BKCジムのバスケットボールフィールド上で実験したところ、当初意図した通りの結果が得られた。この結果から、各々の選手の運動量や戦術の解析が可能となった。必要となれば、テレビの実況中継時に、フィールド全体の鳥瞰図を表示させることも可能となった。 4.ボールの追跡や選手の背番号認識に着手し、アルゴリズム考案と実装を行った。現在、一旦フィールドを出て再度戻った選手の認識がまだできていないが、背番号認識を統合することにより、問題を解決できるようになる。また、環境光が変化しても背景差分が安定的であるように、カメラゲインの自動制御についてもアルゴリズムを提案し、実装し、実験を行い、有効性を確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトの課題は、主に以下の3つである。 (1)サッカー場の大きさをカバーできる多カメラシステムのハードウェア構築において、同期撮影・電源供給・データ転送が大きな課題であったが、GigEカメラのLANケーブルが100メートル先までの接続が可能であること、PoE(PowerOnEthernet)で電源供給できること、外部の専門業者に同期機構を作成してもらったことにより、上記の課題をクリアでき、ハードウェア構築ができた。 (2)16台のカメラの各々に、毎秒30枚の画像が入ってくるため、膨大なデータを処理しなければならず、実時間処理が大きな課題であった。これを処理するため、PCのネットワークによる分散処理を構築した。それぞれのカメラに入ってくる画像の2次元処理に、それぞれのカメラに接続されている一台のノートPCで割り当てられ、その処理結果をLANを介してサーバーPCに送られ、3次元の処理はこのサーバーPCで行う、分散処理を他研究室の協力を得て実現した。 (3)実時間処理に適したアルゴリズムの考案及び実装が最後の課題であるが、これは当研究室で従来から行ってきている範囲であり、得意分野であるため、大きな困難なく進んでいる。 以上の理由により、今までのところ、おおむね順調に進んでいると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
3年目となる今年度においては、球体の実時間認識とシステムへの追加、サッカー場を用いた実験、雑誌への投稿を予定している。 サッカー場を用いた実験の最大の課題は、サッカー場を俯瞰できる高さに16台のカメラを上げることである。立命館大学BKCキャンパスのクインススタジアムは、周りが高いので、特別なことをしなくても、一定の高さをカメラに確保できるが、普通のサッカー場の場合、これが課題となる。一方、これは本研究の範囲外であると考えており、具体的にできることはあまりない。
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次年度の研究費の使用計画 |
学会参加費として、約30万円 謝金として、約10万円 消耗品として、約10万円 尚、未使用額4,851円は、備品(コネクタ、ソフトウェア、トランシーバー)が若干安価であったため生じたものであり、次年度に消耗品購入に充てる予定である。
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