研究課題/領域番号 |
23500233
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
西浦 敬信 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (70343275)
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研究分担者 |
南條 浩輝 龍谷大学, 理工学部, 助教 (50388162)
森勢 将雅 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (60510013)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 音環境の理解 / 危機の検知 / 異常音の検出 / 叫び声の検出 / 警報音の設計 / 安全安心 |
研究概要 |
本研究では音環境における叫び声や異常音などの危機情報を検知し周囲に報知するシステムの構築を目指して,科学研究費補助金交付期間内に次の4つの項目,(1)音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知,(2)検知した危機情報の構造化と理解,(3)危機情報を報知するための警報音の設計,(4)上記を統合した危機情報の検知・警報システムの構築,について重点的に検討を行う. 平成23年度は上記項目(1)「音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知」に対して「悲鳴的叫び声,言語的叫び声および異常音の検知」および「音声モーフィングに基づく叫び声試料の生成」の2研究テーマを重点的に推進して,危機情報の検知を試みた.具体的には,叫び声と異常音を混合して危機情報と捉える場合,より高度な検知を行うためには悲鳴のような言語情報を含まない叫び声(例えば,「キャー」や「ワー」など)だけでなく言語情報を含む叫び声(例えば,「助けてー」や「待てー」など)の高度な検知が必要不可欠となる.そこで,悲鳴的叫び声,言語的叫び声,異常音を擬音語にて検出することで,包括的な危機情報の検知を試みた.様々な日常音も含めて評価実験を行った結果,高精度に叫び声や異常音を検出することに成功した.加えて,本評価実験には大量の叫び声試料が必要となるため,音声モーフィングの技術を応用することで平静音声試料から大量の叫び声試料を生成する技術の確立も試みた.その結果,特徴量に課題はあるものの,平静音声試料から大量の叫び声試料を生成する技術の可能性を見い出すことに成功した.平成24年度はこれらの研究成果を基に,(2)検知した危機情報の構造化と理解,および(3)危機情報を報知するための警報音の設計に対して研究を実施する計画である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していた平成23年度の研究実施項目である「音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知」に対して「悲鳴的叫び声,言語的叫び声および異常音の検知」および「音声モーフィングに基づく叫び声試料の生成」の2研究テーマを重点的に推進して,危機情報の検知を試みた. 「悲鳴的叫び声,言語的叫び声および異常音の検知」の実施に関して,叫び声と異常音を混合して危機情報と捉える場合,より高度な検知を行うためには悲鳴のような言語情報を含まない叫び声(例えば,「キャー」や「ワー」など)だけでなく言語情報を含む叫び声(例えば,「助けてー」や「待てー」など)の高度な検知が必要不可欠となる.そこで,悲鳴的叫び声,言語的叫び声,異常音を擬音語にて検出することで,包括的な危機情報の検知を試みた.様々な日常音も含めて評価実験を行った結果,高精度に叫び声や異常音を検出することに成功した. 「音声モーフィングに基づく叫び声試料の生成」の実施に関して,「音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知」を実現するためには大量の叫び声試料が必要となる.そこで,音声モーフィングの技術を応用することで平静音声試料から大量の叫び声試料を生成する技術の確立も試みた.その結果,特徴量に課題はあるものの平静音声試料から大量の叫び声試料を生成する技術の可能性を見い出すことに成功した. 上記の理由により,当初研究計画に対しておおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
本研究では音環境における叫び声や異常音などの危機情報を検知し周囲に報知するシステムの構築を目指して,科学研究費補助金交付期間内に次の4つの項目,(1)音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知,(2)検知した危機情報の構造化と理解,(3)危機情報を報知するための警報音の設計,(4)上記を統合した危機情報の検知・警報システムの構築,について重点的に検討を行っている. 当初計画どおり平成23年度の研究成果として研究項目(1)をおおむね順調に推進した.今後の推進方策として,当初計画どおり研究項目(2)(3)(4)を遂行する計画である.さらに,本研究を重点的に推進するため、平成24年度より立命館大学情報理工学部中山雅人助手を連携研究者として迎え入れ研究体制を拡充する.
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次年度の研究費の使用計画 |
本研究では音環境における叫び声や異常音などの危機情報を検知し周囲に報知するシステムの構築を目指して,科学研究費補助金交付期間内に次の4つの項目,(1)音環境における叫び声や異常音など危機情報の検知,(2)検知した危機情報の構造化と理解,(3)危機情報を報知するための警報音の設計,(4)上記を統合した危機情報の検知・警報システムの構築,について重点的に検討を行っている. 次年度の研究費の使用計画としては,平成23年度の残額分を研究項目(1)における平成23年度研究成果の対外発表費として執行し,平成24年度に請求する研究費は,上記研究項目(2)(3)の研究を遂行するために執行する計画である. 具体的には,平成23年度の研究成果である危機情報の検知に基づき,危機情報を構造化して理解するシステムの構築のための研究開発費として執行する.さらに,危機情報の構造化と理解の研究成果に基づき,状況に応じて周囲に状況を報知する警報音の設計のために,聴覚的に最も危機状況を知覚・把握可能な警報音を模索する計画である.警報音の設計に関して,被験者の雇用が必要不可欠となるため,警報音の設計のための被験者雇用費としても研究費の執行を計画している. 本研究は危機の警報のみならず,様々な状況を音で報知する枠組みを提案することで,社会基盤技術として非常に有意義なものになると期待できる.
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