本研究では、斜めから撮影することにより射影ひずみを受けている文字列および曲面に書かれているために湾曲している文字列も、ロバストに認識できる文字・文字列認識アルゴリズムの開発を行った。具体的には、(1)文字のひずみを補正するために、近接する文字の形状及び文字そのものの形状をもとに文字の正規化を行う方法の開発、(2)個々の文字の認識結果(文字コード+画像中の文字位置)から、文字列辞書(文字コード列)を利用することにより、個々の文字を文字列にグループ化(文字列を認識)する方法の開発を行った。開発した方法を、ディジタルカメラで撮影した実際の風景画像500枚に適用した。画像には漢字を含めた日本語、アルファベット、数字が含まれている。実験条件として、文字は30画素以上、認識対象の文字列はあらかじめ文字列コードとして文字列辞書に登録されていることを条件とした。また、文字認識法には方向特徴量と部分空間法を採用し、文字フォントから生成した文字認識辞書を用いた。実験の結果、様々な方向からの撮影により射影ひずみを受けている文字および文字列も良好に認識することができた。本方法では、文字列が同じ色の文字で構成されているという特徴は利用していない。また、定量的な性能評価ができていない状況である。そこで、今後の課題として、文字列の単色性の利用及び性能を定量的に評価することである。さらに多様な画像に適用して本方法の性能を調べることである。
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