研究課題/領域番号 |
23500238
|
研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
福田 修 独立行政法人産業技術総合研究所, 生産計測技術研究センター, 主任研究員 (20357891)
|
キーワード | 独立成分分析 / 超音波画像 / テクスチャ / 畜産 |
研究概要 |
本研究では,独立成分分析を利用して肥育牛の超音波画像から脂肪交雑値(いわゆる霜降り度を12段階でランク付けした値)を高精度に推定するアルゴリズムを構築することを目指す. 平成24年度は前年度に構築したプログラムについて,まず人工的に生成した数値データを使って検証し,さらに,200頭超の実サンプルデータに対しても有効性を確認した.いずれも従来手法である主成分分析との精度比較を行った.まず,人工データを使った検証では,3種の信号源から混合した信号を再び分離する実験を行い,推定信号と真値(混合前の信号)との相関を計算した.この結果,主成分分析の場合でr=0.67,独立成分分析の場合でr=0.91という大幅な改善を確認することができた.実サンプルデータでの検証では, 219頭から得られたデータに対して解析を実施した.この際,サンプルは2つの異なる装置で計測されており,アナログ撮像方式によるものが103頭,デジタル撮像方式によるものが116頭であった.まずアナログ撮像方式のデータについては,主成分分析の場合でr=0.62,独立成分分析の場合でr=0.7と大きな改善を確認することができた.しかしながら,デジタル撮像方式のデータに関しては,いずれの手法でも優位な相関が得られなかった.専門技術者の画像判読の際にも,デジタル撮像方式での判読の難しさが指摘されており,撮像方式による情報量の違いがこの要因と思われる.次年度はこの点について考察を掘り下げたいと考えている. なお,並行して進めている電気インピーダンス法による体組成値の計測は,のべ29頭に対して実施することができ,超音波画像を利用した本技術との融合による精度向上についても検討をすすめたいと考えている.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した計画について,概ね全ての項目を達成することができた.
|
今後の研究の推進方策 |
概ね順調に研究は推進できているが,H24 年度に実施した実サンプルデータを利用したアルゴリズムの検証において,撮像方式(アナログ・デジタル)の違いによる推定パフォーマンスの変化が予想以上に確認された.この違いは,専門技術者による画像判読においても同様の指摘があることから,本推定における画像特徴認識の重要なポイントを示唆している可能性があると考えている.次年度はこの点についても掘り下げて考察したいと考えている.
|
次年度の研究費の使用計画 |
H24年に予定していた国際会議に参加できなかったため,次年度実施される別の国際会議(投稿済み)にチャレンジを試みることとなった.「次年度使用額」は,H25年度の旅費に充当して使用する見込みである.
|