研究課題
本年度はまず幼稚園において大規模遊び実験を実施した.実験は約40名の幼稚園年長を対象とし,幼稚園教諭と遠隔ロボットを介して遊ぶというものであった.実験時には,ロボットの操作情報やカメラの映像など,可能なセンサ情報を全て記録した.また,実験前と実験後に被験者の子どもとその保護者に性格検査やアンケートを実施した.こうしたデータを全て合わせると一人当たり43GB,全体で1.6TBのデータとなった.実験データを解析することで,主に以下の3つの知見を得た.(1)フィジカルコミュニケーションがロボット‐子どもの関係を良好なものにするとの仮説をたて,手つなぎ行動を遊びの中に取り入れた場合と取り入れない場合を比較した.その結果,ロボットによる手つなぎが関係性の向上に効果的であることが明らかとなった.これは,物理的な接触が予測性の向上や安心感を引き起こすことに起因した効果であり,こうしたフィジカルコミュニケーションが,これからの対人ロボットに必要であることを示唆している.(2)内向的な性格の中でも特に人見知りの子どもに焦点を当て,人見知りの子どもとの関係構築に有効な遊び行動があるという仮説を立てた.実験では,保育者のスキルによって全員の子どもと最後まで遊び通すことができたが,人見知りの子どもの1/3はロボットへ親近感を持ち,1/3は持たなかった.その違いから,人見知りの子どものロボットへの親近感を高めるために有効な遊び行動が示唆された.(3)生体データに基づくストレス指標と保護者アンケートの相関を計算することで,ストレス指標から性格の傾向も推定できることが示唆される結果を得た.これにより仮に心拍を測りながら遊ぶシステムがあれば,子供の遊びの質や性格をモニタリングしながら遊び相手を行うことができるようになり,これを利用してより子供個人に合わせた行動を選択できるようになると考えられる.
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