研究課題/領域番号 |
23500242
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
前 泰志 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (50304027)
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キーワード | 物体モデリング / 行動モニタリング / 知能ロボティクス |
研究概要 |
人の生活環境においてロボットが視覚を用いて3次元シーンから個々の物体に対応する領域を切り出す問題を解決し、日常生活で人が物体モデルを意図して与えることなくロボットが自動で日常物体のモデルを獲得する手法を開発する。人が日常生活で物を移動させる行動を利用してロボットがシーン中から自動で物体領域を切り出す新たな方法論を提案し、物体認識のためのモデルや学習データを人が与えることなしに個々の物体の見えや形状などの属性を自動獲得し逐次に物体モデリングを行う。本年度は次の内容を実施した。 (1)人の物体移動行動を利用した物体切り出し方法:ロボットや環境に設置したカメラで日常シーンの計測を行う。室内での人の移動行動を計測する手法を開発した。物体切り出し法として、人の物体移動行動の前後での画像変化から背景差分を用いた物体領域の切り出し、ならびに人が物体を把持している状態での物体領域の切り出しを試みた。 (2)物体の逐次モデリング方法:「見え」を対象としたモデルの逐次更新方法を開発する。物体切り出し方法により物体領域が切り出された画像が獲得される。複数の物体のモデルが得られるときに,見えの類似性から複数のカテゴリに分類し,複数物体についてのモデルを得る手法を開発した. (3)人の行動認識のため人の姿勢の計測方法、頭部姿勢の計測方法を改良した。獲得した物体モデルに使用者個人の属性をもたせるため顔認識手法の開発を行った。また、ロボットが物体操作を学習する際に,人の物体操作時の動作だけでなく脳波パターンを利用することも想定し,人の脳波パターンを学習する手法の開発を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実施計画にあった(1)人の物体移動行動を利用した物体切り出し方法、(2)物体の逐次モデリング方法、(3)日常生活空間における常時物体追跡方法、について研究を実施し、それぞれおおむね計画通りに進展している。よって、おおむね順調に進展していると評価した。
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今後の研究の推進方策 |
おおむね実施計画の通りに推進する。人が物体モデルを意図して与えることなくロボットシステムが物体モデリングを行うことが基本計画であるが、人が物やロボットとの自然なインタラクションの中で、人の最小限の手間でロボットにモデル構築のための情報の一部を与えることができれば、著しく物体モデリングの効率が向上する可能性がある。よって、人が物を操作したりロボットとインタラクションするときの動作や脳波を利用することも視野にいれて研究を推進する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は主にKinectセンサを用いた人の移動行動の計測手法を開発したが、次年度以は複数のKinectセンサの効果的な利用や脳波センサの利用を考えて、人の行動計測ならびに物体モデリング手法を開発する。これら手法の開発、複数のセンサの利用に合わせて情報処理用計算機なども複数準備し、実験設備を充実させながら研究を推進する。
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