研究課題/領域番号 |
23500246
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研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
大森 隆司 玉川大学, 工学部, 教授 (50143384)
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研究分担者 |
岡田 浩之 玉川大学, 工学部, 教授 (10349326)
長井 隆行 電気通信大学, 情報理工学研究科, 准教授 (40303010)
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キーワード | タスク変動 / 動的処理の探索 / 機能部品組み合わせ / 環境変動 |
研究概要 |
本研究の目的は,認知・判断・行動決定に関わる機能部品を組合せることで多様なタスクを動的に実現する知能システムの検討である.課題は,タスク処理のような複雑な処理を動的かつ安定に表現するシステムの開拓である. これまでのロボカップでの多様なタスク実現の経験から,各タスクに求められる適切な身体・制御は一様ではないことが判っている.人工知能分野の学習としてはLifelong Learningという問題であるが,知能だけの課題ではなく,身体システムも含めた問題として考える必要がある.そこで平成24年度は,まずマルチタスクに対応した身体システムとそれを容易に制御する制御システムの構築の事例として,タスクに応じて身体的・ソフト的に要素機能を組み合わせやすいロボットシステムの構築を行った. ハードウェアでは,全方位移動の移動台車にスライド式の上下機構と7自由度のアームによる上半身を組み合わせ,到達の自由度と範囲が広い身体を設計した.重量軽減のため情報処理システムの多くは身体の外側に移動したリモートブレイン方式とした.結果として,身長170cm,重量35Kg,アームペイロード2Kgの自由度の高いロボット身体が実現された.それを制御するソフトウェアは,個別の身体部品を制御する部品記述言語と,それらの組み合わせで動作を表現する動作記述言語を開発し,多様なタスクに合わせて動作をすばやく変更していく基盤となるシステムが実現された. 今後は,環境に応じて動作を動的に選択する機構のシステム構築と,動作を環境に応じて探索するためのモデル構築が課題となる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的,機能部品組合せによる多様なタスクを動的に解決するシステムの検討である.もともとの計画では,既存のロボカップのタスクアプリケーションにおいてモジュール選択の確率をもとめることを考えていたが,タスク依存のハードウェアの柔軟性も考慮にいれ,本年度の研究のようなハードのモジュール化,さらに動作のモジュール化を行い,そののちにタスクと環境に依存した機能要素の利用の分布を議論することとした. 結果として,当初の目的とした数理モデルの構築には及んでいないが,モデルの構築をより現実的にする身体システムとソフトウェアシステムが実現された.それと同時に,目標としている機能部品組み合わせのシステム像が当初の想定より複雑であることが示唆されている.この点については今回実現されたシステムの現実のロボカップタスクでの運用により検討していく必要がある.
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今後の研究の推進方策 |
製作したロボットの身体・ソフトウェアシステムを現実的な@ホームタスク群に適用して,必要とされるモジュール群とタスクおよび環境の特性との間の関係を議論する.そのため,ロボットの環境知覚のシステムの動作を記録して,それに応じた身体動作の設計と合わせて各身体・動作部品の組み合わせを検討していく.予想では,環境の知覚と身体動作,あるいはタスクの目的と身体動作の間には階層的な相関があり,それがどのように記述できるかが課題となる. このデータ収集ができたなら,環境近くに基づく反射的な身体動作選択と,現実の課題における身体動作の間の関係が議論でき,環境依存の動作選択の計算理論の開発の第一歩となる.
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし
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