研究課題/領域番号 |
23500248
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
李 周浩 立命館大学, 情報理工学部, 准教授 (80366434)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 人物トラッキング / 人の動き予測 / ロボット行動モデル |
研究概要 |
人間中心型情報提示の基本は人の視線の先の空間に情報を投影することである。しかし、実際に人間が活動する生活空間で人とロボットが共存しながら人間中心型情報提示を行うためには解決すべき問題がたくさんある。その中から本研究期間内では動的環境で自然に人へ情報を投影するためにUDがどのような動きをするべきであるかを解明することを中心に研究を行う。当該年度に実施した研究の成果を以下に示す。UDが情報を投影する際の、人や障害物によってオクルージョンができる可能性が低い位置、人の動きに対応しやすい位置、情報投影の自由度(投影された画像の大きさ、解像度など)が高い位置、人に負担を与えない位置などの、UDの最適な位置を、上述の条件を定式化し最適解を求めることで定めた。定式化するためそれぞれの項目に対して十分な検討とシミュレーション実験を行った。人と投影される情報までの距離、人と情報との位置関係、投影された情報の空間上の2次元面積などのパラメータを評価実験で定量化し、人にとって見やすい情報の条件を調べた[1,2]。レーザレンジファインダ(LRF)を用いて人の位置を同定し、その結果と事前にUDが持つ環境マップを用いて人の視野内に情報を投影するアルゴリズムを開発した。[1] 塩谷朋之, 前川晃祐, 李周浩, "視覚情報支援のための自立移動投影ロボットの行動モデル", RSJ2011, 2011.[2] Tomoyuki Shiotani, Joo-Ho Lee, "A Behavior Model of Autonomous Mobile Projection Robot for the Visual Information", URAI2011, pp615-620.2011.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」では人と情報、その情報を投影するロボットが共存するために必要なロボットの行動モデルを解明することを研究の目的とした挙げた。近年、これまでのロボットの役割とは異なる情報提示メディアとしての役割が提案され、その期待が高まりつつあるなかで本研究では人の視線の先の環境上に情報を投影することで人が情報源を探したり、情報源へ身を動かしたりすることなく、また、特別な装置を持ったり、身に付けたりしなくても情報を得ることの可能な人間中心型情報提示システムを実現するために、人の動きと環境の変化に対してロボットがどのような振る舞いをするべきであるかを明らかにするための研究を行った。研究成果を以下の講演会論文で報告しており,スケジュールに沿って研究の目的をほぼ予定通りに達成できている。予定より少々遅れている部分はLRFを用いた人の動き予測であるが、計画通りカメラセンサと組み合わせることで期待した精度が確保できると判断される。また、移動機構を購入する予定であったがもっと慎重に対象を選定するため購入時期を次年度に計画を変更した。[1] 塩谷朋之, 前川晃祐, 李周浩, "視覚情報支援のための自立移動投影ロボットの行動モデル", RSJ2011, 2011.[2] Tomoyuki Shiotani, Joo-Ho Lee, "A Behavior Model of Autonomous Mobile Projection Robot for the Visual Information", URAI2011, pp615-620.2011.
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究が順調に進んでいるため今後の研究推進方策も本来計画した通り進める予定である。人物の位置同定及び動き予測を既存のLRFのみによるものではなくカメラと組み合わせて精度を向上させる。UDのもつLRFを用いて特定の人物の相対的な位置同定手法を開発し、確率モデルに基づいた人の動き予測アルゴリズムを開発する。また、人物のトラッキング、情報投影と人物トラッキングを考慮した障害物回避に関する研究開始する予定である。人物の位置同定及び動き予測の結果にUDのモーション制御を加え人物のトラッキングを実現する。さらに、既存の障害物回避アルゴリズムを上述の成果と組み合わせてUDに適した障害物回避アルゴリズムを開発する。最終的には全ての開発したアルゴリズムをインテグレーションし、パラメータを微調整しながら評価実験を行う予定である。そのためにショッピングモールなど一般的な環境を対象に交渉を行い一般環境で最終的な評価実験を行う。また、今後の研究成果を国内の講演会、IEEEなどの国際会議などで報告すると同時に国内外のジャーナルに研究成果をまとめて投稿する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
本申請で要求している研究経費は研究を行うために必要な額であり、本研究は学内の研究予算をあわせて進める予定であるので、本申請で要求している研究経費が本研究を行うために十分な額であるとは言えない。23年度の備品費として申請した120万円は,UDの移動機構を用意するために必要とされる金額であったが2年度目に移動機構を購入することにしたため研究費を繰り越した。24年度に本研究に必要な十分な安定性を確保するため、既存のUDを改良するのに必要な費用として使用する予定である。消耗品費はその殆どがUDの改良に必要な電子部品・機械部品の費用、UDを維持・管理するに必要な部品代、また、ソフトウェア開発に必要とされるパソコンの部品代などで使用する計画である。出張費は研究の成果をIROSなどのメジャー国際学会と計測制御学会のSI部門会などの関連国内学会に報告することを想定して算出した金額に、研究打合せ出張に必要な費用を足した金額で、予定通り使用する。謝金もフィールドテストと資料整理を行うために使用する。
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