研究課題/領域番号 |
23500249
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
上田 悦子 奈良工業高等専門学校, 電子制御工学科, 教授 (90379529)
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研究分担者 |
中村 恭之 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (50291969)
竹村 憲太郎 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 助教 (30435440)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | ロボット動作生成 / 優美な動作 / モーションキャプチャ |
研究概要 |
人間特有の「優美な」動作をロボットに実装する事で,人間的で柔らかな動作を実現する事を目指している.そのためのステップとして,これまでスポーツ運動学や美学の分野で,定性的に定義づけられてきた「優美さ」という特徴の定量化を試みている.本年度は「モーションキャプチャによる実時間動作計測からの優美さ特徴の抽出」に加えて,「CGを用いた動作シミュレーションによる優美さ特徴のモデル化」を並行して行い,モーション解析から得られた特徴,およびCGシミュレーションの印象評価を,統合し優美な動作のモデル化を進めている. モデル化の手法を早急に確立するために,動作タスクを全身動作ではなく「物を手渡す動作」に限定し,動作解析および,CGによる動作のシミュレーションを行った.特に優美さ特徴のうち,「丸みのある動き」の定量化を中心に解析を進めた.最初に,丸みのある動きをCGで擬似的に生成し,パラメータによって印象がどのように変わるかを評価した.これにより,定性的に定義されている「優美さ」特徴を元に生成した動作が,「優美な」印象を与えられるのかを検証する.合わせて,実際に人間の受け渡し動作を計測し,多くの人が見て優美であると感じる動作に,「優美さ」印象を与えたCG動作の特徴がみられているか,またその時のパラメータはどのようになるのかを比較し,優美動作CGの印象評価結果から,動作解析の着目点を決めることで,優美さの定量化をおこなった. その結果,優美な受け渡し動作の手先軌道には「楕円近似できる場合は上に凸であり,b/aに0.15から0.44程度の値を持っている」結果を得た.次年度以降は受け渡し動作の更なる解析と平行して,他の動作タスクの解析や,プロ動作者の動作データ取得と解析を行い,モデル化を進めていく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動作タスクの限定は行ったものの,実際の人間動作とCGによる動作との比較により,優美動作のパラメータ化が,一部とはいえ出てきた事は,1年目の成果として順調に進んでいると言える.しかし,古典舞踊データを,優美さの観点から解析する事までは出来ていないため,この部分についての遅れがあり,上述の部分と合わせ総合的に見た結果,(3)の評価とした.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は動作タスクを「受け渡し動作」に絞って,研究を進める.【1.プロの動作者のデータ取得】「受け渡し動作」については,優美に受け渡し動作ができるよう訓練された人(一流レストランのウエィターなど)の動作をモーションキャプチャすることを計画している.このデータを加えて今年度行ってきた解析を進める.【2.古典舞踊動作データでの確認】動作解析から得られた優美さパラメータは,古典舞踊動作データからも得られるのか確認する.【3.モデル化】申請書では「多様体を用いて」モデル化を試みるとしているが,これのみにこだわらず様々な手法により,「受け渡し動作時における優美さモデル」をまずは提案する.
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次年度の研究費の使用計画 |
【1.動作者への謝金】受け渡し動作を訓練された動作者の動作データを複数(性別や状況の違いによるもの)取得するため,動作者への謝金を計上している.このデータは,古典舞踊データと合わせて次年度以降にも有効に活用可能である.【2.データ取得のための国内旅費】データ取得のための国内旅費(できるだけ近県で取得することを試みるが,適任者がいない場合は,東京でのデータ取得も考慮する)【3.成果発表のための国内・海外旅費】今年度の成果は5/27-29開催のROBOMEC2012で発表する事がきまっている.更に今年度中に国内学会と国際会議での発表も予定している.【4.データ処理作業補助】光学式モーションキャプチャシステムでのデータ取得では,データ取得後解析を行うまでに,データの欠落等を補正する後処理が必要となる.この処理は,地道で時間のかかる作業であるが不可欠であるので,ポスプロ作業を行う学生に対して謝金を支払う.また,データ処理用の高性能ノートPCを研究分担者の所属に購入する.
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