研究課題/領域番号 |
23500255
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研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
坂本 真樹 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (80302826)
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研究分担者 |
服部 兼敏 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (10346637)
大内 潤子 北海道大学, その他の研究科, 助教 (00571085)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 言語学 / 認知科学 / システム開発 / オノマトペ / 問診支援 / 感性評価 / 被験者実験 |
研究概要 |
本研究の目的は,国内外で患者が痛みなどの症状を表すために用いたオノマトペの情報を,医療現場で有効な評価尺度で定量化し,問診支援を行えるシステムを開発することである.平成23年度は,以下の手順により,国内の医療現場での問診支援を行うためのシステムのプロトタイプを作成した.1.医療現場で有効な感性評価尺度を選定した.認知科学・感性情報学・医学関係の文献調査により,問診支援ツールに有効な感性評価尺度候補を収集した.先行研究17文献より評価尺度候補が67個選定された.2.医療機関にアンケートを送付し,68個の評価尺度候補の中から,医療従事者に医療現場で重要な評価尺度を回答してもらった.最終的に医師・看護師計14名の回答が得られ,それを参考に35尺度を評価尺度として用いることとした.3.音韻特性と医療用尺度の印象評価値の関係についてのデータを採取するためのアンケート実験を行った.具体的には,痛みや症状を表すオノマトペと評価尺度を被験者に提示し,それぞれのオノマトペについて,評価尺度ごとに7段階で評価してもらった.なお,被験者数は120名で,20名×6グループに振り分け, 1個のオノマトペに対して20人分のデータが取れる計算で行った. 4.各オノマトペ表現を構成する各音と評価が新しく選定された感性評価尺度に与える影響を定量化し,オノマトペ全体が表す情報を予測評価できるようにした.高い精度で予測できることが確認された.このアルゴリズムにより,形態と音韻の両面から症状を定量的に推定し出力するシステムのプロトタイプを作成した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画では,システムの開発は平成24年度から実施する予定であったが、すでに平成23年度にシステムのプロトタイプの作成を行った.その点では当初の計画以上に進展していると言える.しかし,研究成果の発表には至っておらず,その点を差し引いて自己評価し,「おおむね順調に進展している」とした.
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今後の研究の推進方策 |
研究成果の公表を積極的に行いたい.また,医療現場での有効性を確認するための調査を行う.並行して,国外での問診を支援するツールの開発も進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は、平成23年度に当初の研究計画より早めに実装することができたシステム(患者が痛みなどの症状を表すために用いたオノマトペ表現のもつ情報を,選定した感性評価尺度で定量化し,日本の医療現場での問診支援を行えるシステム)の課題を確認し、その解決に努める。同時に、論文発表を目指す. さらに、感性評価尺度を英語および可能であればできるだけ多くの言語に多言語化し、日本人が海外の病院を受診した際,日本人が自分の症状を日本語のオノマトペで入力すると,症状が評価尺度ごとに定量化して示され,「どのような痛みか」といった外国語では伝えにくい微妙な症状を,外国人医師などに伝えられるシステムの開発も行う.
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