盛唐期の成熟した国際文化と交流を深めることで、我が国にはシルクロード周辺の広大な文化が集約された物品が集まり、正倉院に保管された。固有な文化を持たず、世界のデザインの源流を形成するこれらのデザインは「美」の概念を調査するのに最適な素材である。正倉院宝物に描かれたデザインデータ74点について電子データ線画として完全対称性等を念頭において再構築し、金属酸化や文様の欠損といった経年変化を完全消去することで文化遺産としての先入観を排除した。その上で新しい色彩を付したことにより、人々の印象はどのように変化するかを調査した。デザイン部分だけを抽出した約150点収納の電子データベースを作成することができた。
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