研究課題/領域番号 |
23500263
|
研究機関 | 北海道情報大学 |
研究代表者 |
向田 茂 北海道情報大学, 情報メディア学部, 准教授 (70374105)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2015-03-31
|
キーワード | 平均顔 / 標準顔 / ガイドライン / 顔写真の収集 / 顔写真の枚数 / 顔画像合成 |
研究概要 |
平均顔は、単純な構造と明快な効果からこれまで変わることなく多方面で使われ、顔研究の発展に大きく寄与してきた。平均顔は顔研究における基準の顔として重宝される素材であるが、何枚の顔写真を用いて平均顔を作成すれば良いかといった、平均顔を生成するためのガイドラインは特にない。本研究では、平均顔生成のためのガイドラインの作成を目的とし、ガイドラインの作成に必要なツールの開発と、データ収集を行っていく。具体的には、1.年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係を検証する。2.平均顔および、その拡張である標準顔を容易に作成・操作するためのツールを開発し、顔画像の生成環境を整備する。3.平均顔・標準顔の生成に必要な個人の顔写真の収集をおこなう。 初年度は、年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係について検証した。平均顔を作成する場合に、一枚の顔写真が平均顔に与える影響について工学的に検討をおこなった。ここでは、顔の形状情報(顔に配置した特徴点)に着目し、顔画像を一枚増やすことで、生成される平均顔の特徴点がどの程度変化するかについて分析した。ここで得られた結果は、今後、何枚の顔写真を用いて平均顔を作成すれば良いかを判断するための指標を導き出すためのデータとなる。 顔画像合成ツールの開発については、拡張機能の設計に着手している。インタフェースの変更をおこなうことで作業効率の向上を図るとともに、これまでは対応できなかったデータ構造に対しても処理ができるよう設計を進めている。顔写真の収集は、H23年度は60名の収集目標に対し、111名の顔写真の収集をおこなった。特に、これまで不足していた40代女性を中心に収集することができたことは大きな成果である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画では、異なる年代や性別で、何枚の顔画像から平均顔を生成すれば同一人物に見られるかについて認知的な検証を行うこととしていたが、実験参加者の手配等の問題で思うように進められなかった。しかし、工学的検証を前倒しで実施することができ、平均顔の作成に必要な顔写真の枚数の指標となる基礎データを得ることができた。認知的な検証は、計画通りには進めることはできなかったが、初年度には計画していなかった工学的検証を進めることができたことから、平均顔の生成に必要な枚数の検証については、総じて概ね順調に進展していると考えている。また、顔画像合成ツールの機能追加・修正については、拡張機能の設計に着手しており概ね順調といえる。そして、顔写真の収集に関しては、計画では初年度に60名と考えていたが、2倍近い111名の顔写真を収集することができた。特に、不足している40代女性を中心に収集することができた点は大きな成果である。顔写真の収集に関しては、当初の計画以上に進展しているといえる。以上より、初年度の達成度は概ね順調に進展しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画に大きな変更をすることなく研究開発を進めていく予定である。初年度に引き続き次に挙げる3つを平行して進めていく。1.年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係を検証する。2.平均顔および、その拡張である標準顔を容易に作成・操作するためのツールを開発し、顔画像の生成環境を整備する。3.平均顔・標準顔の生成に必要な個人の顔写真の収集をおこなう。 1.年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係の検証では、認知的観点、工学的観点の両面から平均顔の生成に必要な顔写真の枚数の検討をおこなう。特に、認知的観点では、初年度に実施できなかった認知実験をおこなう予定である。工学的観点では、1枚の顔写真が平均顔の生成に与える影響の度合いに着目した分析をさらに進めていく。2.平均顔および、その悪長である標準顔を容易に作成・操作するためのツールの開発では、顔写真の大きさに関わらず合成することが可能なシステムの構築をすすめる。3.顔写真の収集では40名程度の顔写真の収集を目指す。
|
次年度の研究費の使用計画 |
初年度に行った顔写真の収集において、写真撮影協力者から、撮影時に欲しい小物などに関する意見をもらった。それらを踏まえ、撮影環境の整備をおこなうための物品購入をおこなう。また、システム開発用のコンピュータと、ソフトウェアの整備を行う予定である。さらに、データ管理のための消耗品の購入をおこなう。 また、情報収集および研究成果の発表を目的とした二度の国内会議への参加を計画している。また、当初の計画では情報収集のために国際会議に参加する予定であったが、見送る予定である。その他には、論文投稿、顔写真の収集、データ整理のためのアルバイトの雇用、情報技術関連図書の購入などの費用が発生する。
|