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2012 年度 実施状況報告書

平均顔生成のためのガイドラインと標準顔への展開に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 23500263
研究機関北海道情報大学

研究代表者

向田 茂  北海道情報大学, 情報メディア学部, 准教授 (70374105)

キーワード平均顔 / 標準顔 / ガイドライン / 生成
研究概要

平均顔は、単純な構造と明快な効果からこれまで変わることなく多方面で使われ、顔研究の発展に大きく寄与してきた。平均顔は顔研究における基準の顔として重宝される素材であるが、何枚の顔写真を用いて平均顔を作成すれば良いかといった、平均顔を生成するためのガイドラインは特にない。本研究では、平均顔生成のためのガイドラインの作成を目的とし、ガイドラインの作成に必要なツールの開発と、データ収集を行っていく。具体的には、1.年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係を検証する。2.平均顔および、その拡張である標準顔を容易に作成・操作するためのツールを開発し、顔画像の生成環境を整備する。3.平均顔・標準顔の生成に必要な個人の顔写真の収集をおこなう。
2年目となるH24年度は、初年度に検証した年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係について論文にまとめた。平均顔を作成する場合に、一枚の顔写真が平均顔に与える影響について、顔の形状情報(顔に配置した特徴点)に着目し分析をおこなった。本研究でおこなった属性の異なる3種類のいずれの顔セットにおいても、30枚程度の顔写真から作成された平均顔では、1枚の顔写真が平均顔に与える影響は一貫して小さくなった。ここで得られた結果は、今後、何枚の顔写真を用いて平均顔を作成すれば良いかを判断するための指標を導き出すためのデータとなる。また、顔写真の人物が太っているか、やせているかを判断する主観評価実験を行った。
顔写真の収集については、市民が集まるイベントに顔画像の合成をおこなうブースを出展し、33名の顔写真を収集した。顔写真の撮影時には、研究目的での利用に関する許諾を得ている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

初年度におこなった平均顔の形状に着目した工学的検証について、学術論文としてまとめられたことは成果であった。顔写真の収集については、地域の環境保全イベントに参加し、顔写真を合成するアトラクションを出展した。そこで、小学生から50代までの男女、33名の顔写真を集めることができた。本研究期間中に200名の顔写真の収集を目指しているが、初年度に収集した111名とあわせて、合計144名となった。顔写真の収集については概ね順調といえる。また、市民公開講座や、大学オープンキャンパスなどにて、顔に関する講座を持ち、顔による情報処理がどのように行われているかについて市民へ周知した。
一方で、顔写真の人物が太っているか、やせているかを答える顔の印象に関する主観評価実験では、実験は実施し終了したが、分析まで終えることができなかった。計画ではこの結果を基に、工学的検証をおこなう予定であったが、計画通りに進めることができなかった。この点については、計画から遅れが生じている。また、顔画像合成ツールの開発については、開発のための機材の調達が計画より大きく遅れてしまったことと、開発環境の整備が予定通りに進められなかったことから、既存の顔写真合成ツールの機能追加だけではなく、標準顔を簡易に生成するためのシステムについても、開発に着手できていない。また、平均顔の生成に関するガイドラインの作成については、平均顔の形状に着目した検証だけではなく、テクスチャに関する検証も必要であり、ガイドラインの作成には至っていない。

今後の研究の推進方策

2年目の研究が計画通りに進められなかったところがあったことから、2年目にできなかった点から研究開発を進めていく予定である。初年度に引き続き次に挙げる3つを平行して進めていく。1.年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係を検証する。2.平均顔および、その拡張である標準顔を容易に作成・操作するためのツールを開発し、顔画像の生成環境を整備する。3.平均顔・標準顔の生成に必要な個人の顔写真の収集をおこなう。
1.年齢や性別などの属性と平均顔の生成に必要な顔写真の枚数との関係の検証では、認知的観点、工学的観点の両面から平均顔の生成に必要な顔写真の枚数の検討をおこなう。2年目に実施した認知実験の結果を早急に分析し、工学的観点の研究につなげていく予定である。工学的観点では、1枚の顔写真のテクスチャ情報が平均顔の生成に与える影響の度合いに着目した分析を進めていく。2.平均顔および、その特徴である標準顔を容易に作成・操作するためのツールの開発では、顔写真の大きさに関わらず合成することが可能なシステムの構築をすすめる。3.顔写真の収集では30名程度の顔写真の収集を目指す。

次年度の研究費の使用計画

今年度は顔写真の収集を地方で行うことを計画している。そのための旅費が発生する。また、情報収集および研究成果の発表を目的とした国内会議への参加を計画している。ただし、当初の計画では情報収集のために国際会議に参加する予定であったが、見送る予定である。その他には、論文投稿、データの整理のためのアルバイトの雇用、情報技術関連図書、データ管理のための備品の購入などの費用が発生する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 顔画像の構成要素に基づいた画質修正アルゴリズムに関する研究(そのI, 注目点情報の有効性検証)2013

    • 著者名/発表者名
      山本昇志, 山内拓也, 矢部国俊, 小島伸俊, 山内泰樹, 延原肇, 久米裕二, 内山高夫, 宇和伸明, 向田茂, 津村徳道
    • 雑誌名

      日本写真学会

      巻: Vol.75 No.5 ページ: 396-407

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 平均顔の生成に必要な顔写真の枚数の検討2012

    • 著者名/発表者名
      向田茂、加藤隆
    • 雑誌名

      日本顔学会

      巻: Vol.12, No.1 ページ: 45-52

    • 査読あり
  • [学会発表] 顔画像の修正作業における注目点の変化に対する解析2012

    • 著者名/発表者名
      山内拓也,山本昇志,矢部国俊,小島伸俊,山内泰樹,延原肇,久米裕二,内山高夫,宇和伸明,向田茂,津村徳道
    • 学会等名
      2012年日本写真学会年次大会
    • 発表場所
      千葉大学(千葉県)
    • 年月日
      20120529-20120530

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公開日: 2014-07-24  

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