研究課題/領域番号 |
23500268
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
渡邉 真也 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (30388136)
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研究分担者 |
塩谷 浩之 室蘭工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (90271642)
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キーワード | 進化型多目的最適化 / 逆問題 / 局所探索 / 位相回復 / 少数投影CT |
研究概要 |
24年度の主な研究成果は,「局所的パレート最適性を考慮した局所探索手法の開発」および「進化型多目的最適化(Evolutionary Multicriterion Optimization,EMO)の小数投影CTに対する応用」の進展と「位相回復問題」への研究着手である. 局所最適性を考慮した探索手法は,昨年度までの成果を基にアルゴリズムとしての妥当性を高めるとともにテスト関数を用いた数値実験での有効性を示し,手法として形にすることができた.また,逆問題ではないものの幾つかの実問題に対する応用についても検証を始めており,良好な結果が得られている.この研究内容は既に進化計算学会論文誌に投稿,掲載されている. 小数投影CTに対する応用ではEMOにおける交叉や突然変異に関して強度分布特性を考慮した独自の手法を開発し,従来までに比べ大幅に探索性能を向上させることに成功した.この改良手法は,観測データにノイズが載っている場合,対象物画像が非常に細かい画像の場合などにおいて既存手法の中でも特に優れた手法として認知されている空間適応フィルタ反復適用再構成(Recursive Spatially Adaptive Filtering, RSAF)アプローチよりも優位な結果を示すことを確認できた.さらに,「位相回復問題」に対しても上記の小数投影CTに適用した交叉,突然変異の実装を進めており,25年度においてEMOに基づく位相回復アプローチの確立を目指す予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度の主な研究成果である「多数目的に対応した局所的パレート最適性を考慮した局所探索手法の開発」と進化型多目的最適化(Evolutionary Multicriterion Optimization,EMO)を逆問題である少数投影CT,位相回復に対しての応用研究については,計画当初の予定通りに近い成果が得られている.特に,少数投影CTでは問題特性を考慮した遺伝的操作を新たに考案,実装することで高い探索性能が得られるなど効果的な解法メカニズムの実現へ向けて大きく前進することができたと考えている. また,25年度に開始を予定した大規模クラウドシステムでの大規模な計算機実験に関して24年度中から予備実験を開始したかったもののそれには至らなかった. 以上のことから,自己点検による評価を「(2)おおむね順調に進展している」とした.
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今後の研究の推進方策 |
開発を進めていた局所的パレート最適性を考慮した局所探索手法がある程度定まったため,進化型多目的最適化(Evolutionary Multicriterion Optimization,EMO)手法による位相回復,小数方向投影CTの2種類の逆問題に対する応用に注力し,論文としての成果になるよう研究を進める予定である.さらに,局所探索手法についても逆問題の対象を含めた実問題への応用を進め,IFの高い国際論文誌への投稿を行う予定である. また,大規模な逆問題へ適用を目的とした大規模クラウドシステムでの実装を始める予定である.なお,クラウド環境としては,「北海道大学アカデミッククラウド」のような外部クラウドサービスを利用した環境での実装を考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
物品費の主な使用用途としては,ソフトウェアの継続ライセンス費用,老朽化に伴う一部パソコンのリプレイスのための費用を計画している. また,旅費に関しては,本申請に関わる国内・国外の研究会,Workshopへの参加,研究成果発表のための国内学会への参加を数件予定している. その他の費用としては,学会参加費,外部クラウドサービスを利用するための年間利用料金,論文投稿費用,英文校正費用への支出を予定している.
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