研究課題/領域番号 |
23500269
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
宮本 定明 筑波大学, システム情報系, 教授 (60143179)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 制約クラスタリング / 階層的クラスタリング / 制約K-means / 制約混合分布 / 非対称類似度 / ファジィ近傍モデル / Twitter / 正定値カーネル |
研究概要 |
当初計画に従い、次の事項について研究を実施した。(1)広範な文献にあたり、研究レビューを行った。(2)階層的クラスタリング技法において、対制約による半教師付分類技法を開発した。カーネル関数の修正による方法とペナルティ化を利用する方法を開発し、性能を比較した。ペナルティ法が優れていることが明らかになったので、これ以後はぺナルティ法を利用することになった。(3)制約混合分布モデル、制約K-means技法などと階層的方法との性能比較を行い、階層的方法が優る例と制約混合分布モデルが優る例を示した。(4)クラスタリングにおけるインダクションとトランスダクションの概念の違いについて考察し、その方法論的意義について論じた。(5)制約K-meansクラスタリングのもつ欠点を代表者の創意による分類関数を用いて示し、他の方法と比較した。(6)テキスト解析のためのファジィ近傍モデルについて、対制約にもとづく半教師付きクラスタリング技法を開発し、Twitterにおける実データを用いて、その効果を検証した。(7)逐次クラスター抽出ファジィ回帰モデルを開発するとともに、対制約を導入し、その効果を調べた。(8)さらに、階層的技法に関連して、非対称類似度をもつ階層的クラスタリング技法を新たに開発し、理論の展開を行った。(9)目的関数修正法による半教師付ファジィクラスタリング技法を考察した。これらの成果の各々は、FUZZ-IEEEやIEEE GrCのような主導的国際会議で発表し、また国際的学術雑誌への論文発表を行った。なかでも、(8)とテキスト解析モデルに関連した成果については、IEEE GrC 2011 (2011年11月)において、Best Paper Awardを受賞した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(1)~(7)に記した研究実施内容は、交付申請書に初年度の計画として記した(A)階層的クラスタリングアルゴリズムにおける対制約アルゴリズムの開発。(B)階層的クラスタリングにおける距離修正法、(C)階層的技法と制約K-means, 制約付き混合分布の比較。(D)Fuzzy c-meansおよびクラスター逐次抽出技法に対する制約導入。(E)ファジィ近傍カーネルモデルへの制約導入をすべてカバーしている。さらに(7)ではファジィ回帰モデルへの拡張を行った。その他に(4)、(8)、(9)の研究が進展した。なお、(8)については、当初計画の自然な拡張であり、研究実績の概要に述べたように、IEEEの国際学会においてBest Paper Awardを受賞するという優れた成果を得ることができた。全体的にみると、24年度の計画として記した事項についても既にかなりの部分を実施しており、目標である半教師付クラスタリングの基本概念の確立に近付いている。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画に記した、制約混合分布とここで提案する階層的技法、ファジィ技法などとの性能比較を引き続き行っていくとともに、半教師付きクラスタリングの基本概念として、インダクティブクラスタリングとトランスダクティブクラスタリングの概念の考察を進展させ、クラスタリングにおける基本概念として確立する。このことにより、半教師付き分類を契機としたクラスタリングの理論が一新される。また、Twitterやblogなどのweb情報への応用のため、ファジィ近傍モデルと既存のモデルとを利用して、クラスタリング技法を一層発展させる。さらに、非対称類似度によるクラスタリングと半教師付クラスタリングの技法を確立する。最後の事項は当初の計画には明示していないが、その自然な拡張として実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
初年度に多くの研究成果を得た。それらの成果と、現在得つつある成果を公にするために、主として国際学会への発表が必要となる。よって、旅費が主要な経費となる。あわせて、国際学会への参加費を使用する。また計算機を利用する際の消耗品を中心に購入する。物品費としては、有料の文献も購入したい。また、ソフトウェア開発や成果のweb公開にあたって、研究補助謝金を使用する予定である。なお、繰越金262235円は23年度に発表予定であった学術雑誌論文の査読が遅れ、24年度に繰り越されたためであり、今年度に論文の発表料等として、24年度の経費と合せて使用する。
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