研究課題/領域番号 |
23500270
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | リーダーシップ / 進化ゲーム / 進化 / ゲーム論 / エージェント・ベースド・シミュレーション |
研究概要 |
本研究では、リーダーシップを、調整問題(コーディネーション問題)に対処するため文化的・遺伝的に進化したものとする立場に立ち、戦略の進化という観点からリーダーシップの進化のメカニズムを解明することを目指すことにある。 具体的には、各集団内の構成員間でゲームが繰り返される状況を基本的な社会的環境とし、集団内相互作用の「ゲーム構造」が、集団間での競争の形態がリーダーシップの進化に与える影響について分析する。その過程で、リーダーシップの進化を促進する個人特性・行動様式(戦略)の分析を行っていく。 本年度は、様々なゲームの繰り返し状況に関して、進化ゲーム的手法と、遺伝的アルゴリズムを用いた分析を行い、特に、ゲーム構造(利得行列)がリーダーシップの進化に与える影響を分析し、その結果、「社会的相互作用としての利得行列を段階的に変化させたとき、いわゆる「調整ゲーム」に相当する相互作用の一種で、リーダー・フォロワー関係が進化し安定化すること、リーダー・フォロワー関係の進化を促進する戦略には、ある種の共通する普遍的性質が存在すること、リーダー・フォロワー関係が集団全体として線形順位制と呼ばれる構造となる条件が存在すること」を、計算機シミュレーションによる分析と、進化ゲーム論的分析の節に分けて整理し、秋山(2011)日本シミュレーション&ゲーミング学会誌 21(1),27-38(2011))に掲載した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
集団内相互作用の分析は(時間がかかったものの)ほぼ完了している。集団間の分析が遅れているが、前者は後者の土台となる部分なので必要な作業だと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
所属集団変更の可能性:研究目的Aで述べた多レベル淘汰機構が機能するには、定期的に、一定数以上の構成員の所属集団が変更される必要がある。本研究では、毎世代新しい集団が作られるとする Williams が提案したタイプの集団組み換えと、ある種の集団構造が複数世代続くとしたMaynard-Smith のHaystackモデルの二つの集団組み換え方法を用いる。プレーヤーに関する条件:目的A,Bの分析の際、次の2つの条件(X)(Y)の各組み合わせに関して分析を行う:(X)プレーヤーがミスをする(オートマトンに記述されたものと異なる選択をする)可能性の有無, (Y)プレーヤーの記憶能力(過去の情報をどの程度覚えているか)と情報取得能力(ゲーム状況の情報をどの程度間違えずに把握・記憶できるか)の大小。 以上の分析結果を、単一集団モデルの結果と比較することで、集団間の競争がリーダーシップの進化に与える影響を検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
進化シミュレーションを効率的に行うため、計算サーバが必要である。申請者の研究室で現在所有する計算サーバが、今年度に使用開始から4年目に入るので、新規の計算サーバに更新する(周辺機器も含めて400千円程度を予定)。その他の研究費の使用としては、被験者実験の謝金(300千円程度を予定)、学術誌への論文の投稿の際の投稿料・英文校正(100千円程度を予定)、研究成果の発表に用いる(国内2回 100千円, 海外1回 300千円)。 なお、繰越額29,872円分について、年度内に発注していた物品の納品時期が遅れたため次年度の物品費に充てる。
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