研究課題/領域番号 |
23500271
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
領家 美奈 筑波大学, ビジネスサイエンス系, 准教授 (10303348)
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キーワード | ファジィ / ソフトコンピューティング / 感性情報学 |
研究概要 |
本研究では,顧客の製品に対する感性的,文脈的要望(購入する目的や使用する場面・状況など)を統合する「ファジィ情報統合モデル」を構築し,それに基づくデザイン支援手法とプロトタイプシステムを開発する. 目的のために,3つの問題を解決する.(1)相互影響がある感性的要望と文脈的要望を同一に扱うためのファジィモデルの検討.(2)さまざまな要望を統合して製品に順序付けを行うための適切な統合化オペレータの検討.(3)順序づけられた製品群のデザイン属性から要望に対して適切に対応できる最小有効多様性を持ったデザイン属性の組み合わせ発見法の開発.以上に基づきプロトタイプシステムを開発し実データにより理論を検証・精緻化する. 昨年度末に石川県伝統工芸品の代表である九谷焼珈琲カップについて感性評価実験を行った.感性評価語(感性表現語)と評価対象の文脈(どんなときに使用したいか,購入したいか)をそれぞれの評価対象についてデータの収集を行った.感性ワード群と要望文脈群間の相関関係を分析し,独立に扱ってよいか,あるいは階層モデリングを行うかを検討した.また本実験は代表的消費地である東京で被験者を集めて行われたので産地あるいは九谷焼が代表的産物である石川県で被験者を集めて行われた先の感性評価実験で収集された評価データとの比較分析を行うことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成23年度では感性評価実験とメンバシップ関数の同定と情報統合オペレータの検討を主たる計画としていた.感性評価実験の実施が年度末になったため,メンバシップ関数の同定および情報統合オペレータの検討も少し計画より遅れつつある.よって平成24年度の主たる計画である,統合化オペレータの感度分析についても若干遅れている.
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今後の研究の推進方策 |
申請者は石川県伝統工芸の代表的存在である九谷焼について感性評価実験を多く行ってきたが,本計画では,九谷焼に馴染みがある産地の潜在顧客ではなく,各地の著名な伝統工芸品だけでなく様々な製品を目にすることができる代表的消費地の東京で実験を行う機会を得た.本研究では,製品に関する感性とデザイン要素および文脈の情報統合モデルを構築することを狙いとしている.よってさまざまな状況下での感性評価実験により収集されたデータの比較分析は重要となる.予備的比較分析により産地と消費地で得られる感性評価は比較的近い傾向,文脈は異なる傾向が得られた.このことを考慮し柔軟に異種情報を統合するオペレータの設計に役立てる.情報統合オペレータについてもう少し検討を続ける.プライオリティ付OWAオペレータの考え方を拡張する検討を引き続き行う.そしてその結果をプロトタイプシステムに導入する.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度では計画していた国際会議が国内で行われたこと,教育業務に追われて連携研究者がいる国内および国外への研究打合せが予定していたより少なくなってしまったこと,また平成23年度で物品費を多く購入したため物品費の使用を控えていたこと等から費用を計画通りに使用できず繰り越し額が生じた.本年度はベトナムで行われる国際会議への出席と研究発表,および北陸先端科学技術大学院大学への研究打合せ,研究資料購入,謝金等に研究費が必要となる.
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