研究課題
本年度は,昨年度に引き続いて探索エンジンの性能向上に関する研究を進めるとともに,大域的多峰性の問題空間において発見が困難なV谷を一度の探索で発見するための新たなアルゴリズムの提案を行った.本年度の主な研究成果は,以下のようにまとめられる.(1)昨年度提案した手法である,集団の加重平均に着目した実数値GAの改良を行った.従来手法は,子個体生成分布の中心を集団の加重平均とすることで探索の加速を実現するものであったが,強い多峰性を有する関数において初期収束しやすいという問題点があった.本年度は,この初期収束を防ぐため,集団の加重平均の評価値が集団中の個体に比べて悪い場合に,ランダムに選択した親個体の加重平均を子個体生成分布の中心とする手法を提案し,数値実験によりその有効性を確認した.(2)昨年度提案した手法であるDX-NESは,設計問題においてしばしば現れるステップ関数に適用した場合に,探索効率が劣化するという問題点を有することを明らかにし,本問題点を克服するための方法について検討した.具体的には,重み関数として線形関数を用いることにより,探索性能を向上できることを明らかにした.(3)大域的多峰性の問題空間において発見が困難なV谷を一度の探索で発見するための新たな実数値進化計算手法を提案した.提案手法は,ある基準評価値よりも評価値の小さい個体が存在する領域を有望領域として考え,有望領域を囲うなるべく小さな楕円体の表面付近から子個体をサンプルし,徐々に基準評価値を下げていくことにより最適解の探索を行う.数値実験により,既存のESsやRCGAsで解けていた関数に加えて,UV構造を有する関数においても,提案手法が最適解を発見できることを確認した.(4)昨年度提案した手法であるDX-NESの研究成果をジャーナル論文としてまとめて投稿し,採択された.
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)
進化計算学会論文誌
巻: Vol.4, No.2 ページ: 57-73