• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2012 年度 実施状況報告書

言葉によるコンピューティングのための時系列データの言語化基盤技術の開発

研究課題

研究課題/領域番号 23500274
研究機関お茶の水女子大学

研究代表者

小林 一郎  お茶の水女子大学, 大学院人間文化創成科学研究科, 教授 (60281440)

研究分担者 岩爪 道昭  独立行政法人情報通信研究機構, ユニバーサルコミュニケーション研究所, 統括 (80319756)
キーワード時系列データ / 言語化 / 動画像 / 対数線形モデル
研究概要

(1)概要:時系列データ言語化のアプリケーションとして、時系列データの取得対象を動画像中の人の動きと設定し、前年度において開発した時系列データ解析手法を用いた人の動作を言語化する研究を進めた。人の動作取得には、MicroSoft社で開発されたKinectカメラを用い人の骨格情報を取得し、開発した時系列データ解析手法を用いて動作パターンを抽出した。
(2) 時系列データの解析:前年度において開発を行った、複数の時系列データの関係を捉える手法を拡張し、ymbolic Aggregate approXimatoin (SAX)を用いて記号化したラベル系列を定量的な動向を表す情報としてデータ圧縮する手法を開発した。これにより系列のパターンを定量的に表現することができるようになった。このようにすることで、複数の時系列データのパターンにおける関係を捉えることが容易になることや、パターンを言語化する際の解釈知識と対応させ易くした。
(3) 時系列データ解釈知識の体系化:時系列データの状態を表現する語彙オントロジーを述語論理式の記述形式の下に、体系化する作業を行った。具体的には人の動作を表現する意味内容を表すための解釈知識であり、言語を生成するための時系列データと言語をつなぐ意味表現となる体系を構築した。
(4) 機械学習を用いた時系列データのパターンと解釈知識の対応関係の取得:人の動きが時系列データのパターンとして表現され、そのパターンがこの解釈知識によって動作の内容を示すものとして選択されるために対数線形モデルを用いて、パターンと解釈知識の対応関係をそれらがペアになったデータから機械学習を行い、解釈モデルを構築した。それにより、選択された内容を表現する解釈知識の下、適切な言語表現が選ばれて、時系列データ(人の動作)の振る舞いを示す言語が生成される手法を開発した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

時系列データの言語化を行うにあたり、必要となる時系列データの解析手法の拡張を行った。データから動向に関するパターンを取り出すためにデータを定量化しつつ圧縮する手法を開発した。これにより時系列データからパターンを抽出することが容易になった。また、複数の時系列データのパターンの間の関係を捉えることが容易になり、様々な時系列データ間の関係やパターンを処理することができるようになった。時系列データを言語化する対象ドメインのひとつとして、動画像に映っている人の動作を言語化することを中心に進めた。時系列データとしては、Kinectを用いて人の骨格情報を取得したものを用いた。上述の開発した時系列データ解析手法を用いてデータを解析し、抽出したパターンを構築した解釈知識の体系における知識との対応関係を対数線形モデルを用いて学習し、人の動作を判別するためのモデルを構築した。また、被験者実験により収集した文章から、言語を生成するためのバイグラムモデルを構築し、判別された解釈知識に基づき言語を生成する手法を構築することができた。上記の代表的な成果は、下記の会議、研究会において発表された。
・小林瑞季、小林一郎、Sergio Guadarrama、動画像中の人の行動に対する言葉での説明への取り組み、言語処理学会第19回年次大会、2013.
・小林瑞季、小林一郎、Sergio Guadarrama、麻生英樹、動画中の人の動作を入力情報とする動的計画法を用いた言語生成モデル、ARG WI2 No.2, 2013.
・小林瑞季、小林 一郎、麻生 英樹、動画像中の人の動作を表現する確率的言語生成に関する取組み、2D5-OS-03b-3、第27回人工知能学会全国大会、2013.

今後の研究の推進方策

(1)時系列データ解釈知識体系の拡張:現在までに構築した解釈知識の体系は、抽出した人の動作のパターンを表現するのに最低限のものとなっている。解釈知識の体系を通じて推論を可能にすることで、より複雑な解釈の状態を実現することができ、それに基づき多様な言語を生成することが可能になると考える。そのため、時系列データ解釈のための知識体系を推論機能を交えることにより拡張することを考える。
(2)言語化テキストの二次的な利活用への拡張: 特定の時系列データに対して付与された自然言語文を利用し,ライフログのような膨大な時系 列データから特定の箇所または動画像内の特定の人の行動を自然言語で検索可能にするような言語生成手法を構築する
(3) 成果報告:得られた結果をとりまとめ、国内外で報告するとともに学術雑誌へ投稿する。

次年度の研究費の使用計画

平成25年度は、動画像に映る人の動作の時系列データを対象にし、言語化手法をさらに発展させる。そのために、被験者実験によりデータを収集、および、収集したデータの整理に謝金を用いる。また、手法開発のプログラミング補助に謝金を用いる。
大量の時系列データを収集するための大容量ハードディスクの購入を行い、研究成果を国内外の会議で発表するとともに、学術雑誌に論文を投稿する。
上記の活動にかかる費用に研究費を使用する。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件)

  • [雑誌論文] 文書上の単語対を素性とした潜在的トピック推定2013

    • 著者名/発表者名
      北島 理沙, 小林 一郎
    • 雑誌名

      日本知能情報ファジィ学会論文誌「知能と情報」

      巻: Vol. 25、No. 1 ページ: 501-510

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Latent Topic Estimation Based on Events in a Document2012

    • 著者名/発表者名
      Risa Kitajima, Ichiro Kobayashi
    • 雑誌名

      Journal of Advanced Computational Intelligence and Intelligent Informatics

      巻: Vol.16 No.5 ページ: 603-610

    • 査読あり
  • [学会発表] 中華レストラン過程へのディリクレ森分布による制約知識の導入2013

    • 著者名/発表者名
      立川 華代、小林 一郎
    • 学会等名
      第27回人工知能学会全国大会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      20130604-20130607
  • [学会発表] 動画中の人の動作を入力情報とする動的計画法を用いた言語生成モデル2013

    • 著者名/発表者名
      小林瑞季、小林一郎、Sergio Guadarrama、麻生英樹
    • 学会等名
      ARG WI2 No.2, 2013.
    • 発表場所
      大阪
    • 年月日
      20130519-20130520
  • [学会発表] 動画像中の人の行動に対する言葉での説明への取り組み2013

    • 著者名/発表者名
      小林瑞季、小林一郎、Sergio Guadarrama
    • 学会等名
      言語処理学会第19回年次大会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20130313-20130315
  • [学会発表] 動画像中の人の動作を表現する確率的言語生成に関する取組み2013

    • 著者名/発表者名
      小林瑞季, 小林一郎, 麻生英樹
    • 学会等名
      第27回人工知能学会全国大会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2013-06-05
  • [学会発表] 疑似ラベルを教師信号とした潜在ディリクレ配分法への取り組み2013

    • 著者名/発表者名
      鈴木聡子, 小林一郎
    • 学会等名
      第27回人工知能学会全国大会
    • 発表場所
      富山
    • 年月日
      2013-06-05

URL: 

公開日: 2014-07-24  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi