研究課題/領域番号 |
23500276
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
アギレ エルナン 信州大学, 工学部, 准教授 (50402136)
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研究分担者 |
田中 清 信州大学, 工学部, 教授 (20273071)
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キーワード | 進化計算 / 大規模多数目的最適化 / 並列化 / 目的空間分割アルゴリズム / 多目的アルゴリズムのハイブリッド化 / 適応化 |
研究概要 |
本研究では、進化計算を用いた多目的最適化問題の解法に焦点を当て、システムに多数の目的関数と膨大な設計変数を含む大規模多数目的最適化において、その解探索能力を格段に促進・向上させる新しい多目的進化アルゴリズムを開発する。24年度において以下の研究項目を明らかにしました。 項目3:並列目的空間分割アルゴリズム全体の適応化。 23年度項目1の並列アルゴズムでは、それぞれの計算機上のサブ集団の進化を観測し、その結果をシステム全体に反映する制御機能を果たす仕組みが必要である。そこで、各サブ集団の進化の程度を収束性と多様性の観点から計測し、これらをアルゴリズム全体として最大の探索能力を実現するようにフィードバックする適応的なメカニズムを検討しました。具体的には、各サブ集団への目的関数や計算資源の割り当てを動的に制御する。テスト問題を利用した実験により、適応化を行わない1や2の方法との比較を行い、適応化の効果を検証しました。 項目4:ハイブリッドアルゴリズムの適応化。 23年度項目2の各計算機で稼動するそれぞれのハイブリットアルゴリズムの適応化を試みる。従来のアルゴリズムでは、時系列上のある世代をトリガにして利用するアルゴリズムを切り替えていたが、ここでは、解集団の進化の程度を収束性と多様性の観点から計測し、これらを個々のアルゴリズムの探索能力を最大化するようにフィードバックする適応的なメカニズムを構築しました。テスト問題を利用した実験により、適応化を行わない2の方法との比較し、適応化の効果を検証しました。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に述べるように24年度の研究目的に取り上げた二つの項目を明らかにしました。
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今後の研究の推進方策 |
25年度において以下の研究項目を明らかにする。 項目5:目的関数の次元数削減 項目1「目的空間分割アルゴリズムの並列化」と項目3項「並列目的空間分割アルゴリズム全体の適応化」の検討により、並列化したアルゴリズム全体のPOS探索性能を最大化すると同時に、アルゴリズム全体として目的関数や計算資源を適応的に制御する知見から、解探索における冗長(無駄)な部分を特定し、多数目的最適化における目的関数の次元数削減を試みる。すなわち、目的関数間の相関関係が解探索に大きな影響を与える知見を考慮し、次元数削減による多数目的最適化問題のスリム化と解探索の効率化を同時に達成することを目指す。 項目6:実世界の大規模多数目的最適化問題への応用 本研究で確立した大規模多数目的最適化問題に有効な多目的進化アルゴリズムを、実世界応用に積極的に適用することを検討する。新しい重要な研究分野として注目されるスマートグリッドやクラウドコンピューティングをはじめとする複雑システムを記述するモデルを調査し、その中で求められる最適化問題を特定し、確立したアルゴリズムの適用可能性を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
並列目的空間分割アルゴリズムをベースとする目的関数の次元数削減とその効果の検証実験、および確立したアルゴリズムの実世界の大規模多数目的最適化問題へ適用可能性の検討についても、1~2年目に構築した複数の計算ユ ニットを持つ並列分散システムを利用して行う。プログラム開発と実験に必要な労力として、研究補助に対する2万円/月程度の謝金を計上している。旅費については 、関係機関との打合せを継続的に行うために、初年度と同額を見込んでいる。学会発表は、研究成果の発表件数が増加することを予想して、国内3~4回、海外1回を見積もっている。また、印刷費(別刷代)として必要と思われる金額を計上している。 当年度末に使用する図書を購入する際、見積額より安価で済んだため、余剰金が生じました。次年度の物品購入の一部資金として使用する予定です。
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