研究実績の概要 |
本研究の目的は,学習支援空間における学生アシスタントの意義を明らかにし,その育成プログラム・モデルを構築することである。北米の大学図書館では,1990年代頃より,学習支援に焦点をあてた新しいタイプの学習支援空間が提供されており,特に2000年代以降,日本においても広がりを見せている。学習支援空間の構成要素は,(1)施設・設備,(2)資料,(3)人的支援に大別することができる。本研究では,人的支援に着目し,なかでも学習支援空間の質的向上のカギとなる学生アシスタントに焦点をあて,その意義を明らかにすることとした。 本研究では第一に,ラーニング・コモンズやインフォメーション・コモンズなどの学習支援空間および学習支援空間における学生アシスタント活用の国内外のグッドプラクティスの収集および評価を行った。例えば,OECDのラーニング・コモンズに関する調査対象館(McMullen, Susan (2008). US Academic libraries: today’s learning commons model. PEB Exchange, OECD)や,準専門職とされる「ピア・ヘルパー」とよばれる学生アシスタントを導入しているゲルフ大学などの先進事例を対象とし,分析を行った。第二に,日本の大学図書館(短期大学および高等専門学校に付置される図書館を含む)を対象として質問紙調査を実施することによって,日本の大学図書館における学習支援空間および学生アシスタントの実態を明らかにするとともに考察を行った。
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