2002年以来、学術情報に対するオープンアクセスという概念がBudapest Open Access Initiativeの声明文で定義されて以来10年の間に、「オープンアクセスの世俗化」として分析した。 このような環境おける学術情報利用行動に関する認知科学的手法による研究の基礎として、学生による学習活動のなかでどのような部分が既存のメディアに依存し、どのような部分がインターネットに依存しているのかを、学生の学習の成果物であるレポートを分析することによって明らかにした。この分析の結果が分野、学年に依存することは予想されることであるので、とりあえずは事例の分析にとどまらざるを得ないが、哲学分野の大学院生のレポートを分析した結果、現段階においては、文献探索のためにインターネットを活用することはあっても、原典を参照するときにインターネットを使うことが少ないことがわかった。これは、インターネット資源が十分にある哲学者を対象に研究している場合であきらかになったことから、現段階においてこの分野では、ディスカバリーについてはインターネットが活用されているものの、内容に関しては印刷媒体がまだより利用されていると想定した。 このことを仮説として、情報探索行動を、画面の状況の遷移によって明らかにする方法を定式化した。この場合には、画面がいくつかの(たがいに重なりあうことが予想される)フレームに区切られているとして、そのどこにポンターがあるのかについて時間を測定することとした。これらを試行的に作業した結果、たしかに、ポインターが動いているときには、それはGoogle、CiNiiのような検索のためのツールであることは確認できたが、それ以外のときに何をやっているかは確認できていない。
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