学術情報流通におけるオープンアクセス化の展開について考察した。2002年に学術情報に対するオープンアクセスという概念がBudapest Open Access Initiativeの声明文で定義されて以来10年の間に、その段階ではたんなる理念であった学術情報流通形態が現実のものとなったことを「オープンアクセスの世俗化」として分析した。そのうえで、現在の段階の日本における電子的環境の利用は、すくなくとも人文学分野においては、ディスカバリーのためにとどまり、研究対象を直接に扱うものでないという推測を可能にするデータを収集した。
|