研究課題/領域番号 |
23500300
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研究機関 | 駿河台大学 |
研究代表者 |
杉江 典子 駿河台大学, 人文社会・教育科学系, 准教授 (50383295)
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キーワード | 図書館情報学 / 公共図書館 / 情報サービス / 情報探索行動 |
研究概要 |
本研究では,公共図書館における利用者の情報探索行動を解明することを目的とし,近年開発の進むRFID(無線周波固体識別:Radio Frequency Identification)の技術を応用して,利用者が情報探索を行う際の行動軌跡を記録,分析している。本年度は,3年計画の2年目にあたる。初年度は,情報収集や調査依頼館の決定,調査依頼館において予備調査を実施した。本年度は,初年度に行った予備調査において明らかになった問題点を改善できる方策を検討し,調査依頼館において本調査を実施した。 本調査では,図書館来館者にRFIDのアンテナと電波を蓄積するためのアンテナを携帯してもらい,通常通りに図書館を利用してもらった。調査依頼館の所蔵する個々の資料にはRFIDタグが貼付されているため,資料の書誌データを利用することで,利用者の館内における時間ごとの位置と滞在中の行動軌跡を得ることができた。また利用者の退館時には,利用者の属性や,利用内容,図書館に対する認識などを問う質問紙調査を行った。これは,RFIDタグにより得られたデータを,利用者のニーズや認識により,分析するためである。 調査の結果,館内における行動軌跡に関するデータと,質問紙調査の結果の両方が有効なデータは,合計211名分であった。これらのデータを,滞在時間,移動距離,部門ごとの滞在時間,資料の主題部門ごとの滞在時間等ごとに集計を行った。 また,調査手法,これまでの調査結果について,Association for Information Science and Technology (ASIS&T)年次大会において,ポスター発表をした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の主な予定は,調査依頼館における本調査の計画と実施であった。予備調査においてみつかったいくつかの問題(図書館内においてRFIDタグから発信されるデータが得られない場所があるなど)について,調査手法を修正することで,おおむね解決することができ,予定していた調査計画を大きく変えることなく,無事に本調査を終えることができた。また,200件を超えるデータを得ることができたため,分析に必要なデータを一応得られたと考えている。ただし調査の実施最中に,館内における特定の位置において,データの精度が低くなることなど,分析に影響を与えるであろう問題もみつかっている。引き続き分析の手法を検討していく必要がある。また,目標としていた研究発表も無事に終えることができた。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究計画は,無事に進行したため,平成25年度も,申請時の計画どおり進めたいと考えている。 平成25年度には,平成24年度に得られたデータを整理し,分析を行う。得られたデータの分析方法として,単純集計以外の統計的手法を模索したい。位置と継続する時間を伴うデータの分析方法は,先行研究が少ないため,文献探索や異なる分野の専門家から意見をもらうことも予定している。分析がうまく進めば,学会発表を行い,論文執筆にも着手したい。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は,データの集計,整理に必要な機材の補足的な購入,データの集計補助を依頼するアルバイトへの謝金,学会発表や研究会への参加の旅費などを予定している。
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