研究課題
我々はこれまでに学術研究の動向や分野間の関係、産学連携の状況を調査してきた。これらの研究の中では研究成果や研究動向の情報として学術論文や研究資金(科学研究費補助金等)のデータベースを利用してきた。しかし、社会一般に研究動向が広報されるのは新聞やニュース、インターネット等のメディアである。本研究では新聞記事、ニュース等の検索サービスを用い、一般報道とこれまで調査してきた学術動向との関係を調査研究する。これにより、報道が科学研究に与える影響やその報道の分野による違い等の状況、さらに研究成果の評価等の指針が得られるのではないかと期待する。平成25年度はプレスリリースと2つの全国紙の新聞記事を中心に調査した。2007年から2012年のデータを用いた結果、毎日新聞記事(本社版と地方版)とプレスリリースの見出し間で465件、読売新聞(本社版と地方版)とプレスリリースの見出し記事間で635件の一致記事が見つかった。さらに、この2誌で共通に取り上げられたプレスリリースは240件であった。プレスリリース、およびプレスリリースが取り上げられた新聞記事共に、大学セクタの伸びが大きく、プレスリリースの新聞記事への採択が増えている結果となった。しかし、大学個別に見ると、プレスリリースの発表件数と記事への採用件数には違いが見られ、さらなる確認が必要である。また、プレスリリースと新聞記事の一致を発見するためのcoin_index指数を導入し、一致記事の確認作業の効率が向上した。しかし、コサイン距離と掲載日時の差の最適化は今後の課題となる。プレスリリース本文には研究結果が発表された論文情報が掲載されており、この情報の抽出も今後の課題である。今後はこの調査を基礎にして、他の新聞記事等も調査し、科研費や学術雑誌の論文数等との比較を行っていく予定としている。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (4件)
情報知識学会誌
巻: Vol.23, No.2 ページ: pp 279-285
10.2964/jsik.23_279