研究課題/領域番号 |
23500311
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
湯浦 克彦 静岡大学, 情報学部, 教授 (60517019)
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研究分担者 |
石川 博 静岡大学, 情報学部, 教授 (60326014)
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キーワード | 高度IT人材 / 知識ベース / 情報共有 / SNS |
研究概要 |
[人材スキル知識の調査と知識ベース化・投稿情報分析] IT人材のスキルとスキルを得るために必要な知識項目を対応付けたモデルとして、情報処理推進機構(IPA)が開発した共通キャリア・スキルフレームワーク(CCSF)を調査した。また、静岡大学情報学部ISプログラムにおける授業科目で学ぶことができる知識項目を、シラバスと実際に受講した学生へのアンケート調査に基づき調査した。これに前年度作成したIT人材WIKIを加えて、目標人材-スキル-知識-授業科目の関係を、IPAとの連携のもとに知識ベース化した。一方知識ベースの実用化に備えて、インメモリで高速に検索する方式について技術開発を行った。 [スキル目標管理方式] 前年度に検討した学生の行動モデルに従い、関心のある人材像や製品から受けるべき授業、これまで受講した授業群から関連深い人材像、あるいはこれまで習得した知識項目から目標としやすい職種など、多様な検索方式を開発した。 [ITスキル育成SNS] IT人材WIKIにおける学生の対話の傾向を参考にして、上記の多様な知識ベース検索と学生間の情報交換のためのSNSであるITPost (IT Professionals Guidepost)を開発し、静岡大学情報学部ISプログラム2年生(約70名)に公開した。ITPostでは、マイページ機能を設けて、個々の学生における目標人材-スキル-知識-授業科目の関係を視覚化した。また、インターンシップ体験に関して上級生の体験談を取材し記事を作成し、卒業した先輩たちの現在の仕事や後輩へのアドバイスについても記事を集め、学生の目標人材像調査を支援した。約1か月の利用状況を分析したところ、多くの学生が人材-スキル-知識-授業科目の関係に興味を持って繰り返しアクセスしているが、マイページを利用した自己分析に至っているケースはまだ少ないことなどが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
知識ベースとその検索方式を実装し、関連情報提供機能と合わせたSNSとして大学内で公開し、利用評価を開始し、学生の反応に手応えを得ることができている。開発成果と利用状況について、企業のIT人材育成の専門家たちと意見交換を行い、今後の拡張方針や企業の協力について検討した。また学会(情報処理学会コンピュータと教育研究会)での報告により、大学関係者と意見交換を行っている。 知識ベースの開発に当たっては、IT人材の体系化に関して我が国でもっとも経験が豊富なIPAと連携し、IPAが提供するCCSFの最新ノウハウを得るとともに、当方のITPostの利用状況や学生の反応について情報共有を行って、静岡大学以外との連携や普及のための足場を築いている。
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今後の研究の推進方策 |
昨年までに開発し公開をはじめたITPostについて、人材像データ、授業データなど知識ベースのメンテナンスを行い、情報の豊富さと精度向上を図る。また学生の対話を促進するための機能についても、これまでの上級生や卒業生の記事だけでなく、企業の採用・教育の担当者、あるいは現場の技術者からのメッセージやアドバイスを得られるようにして、学生における目標人材像と、それまでの学習・成長過程に関して、よりイメージを明確に持てるように情報提供を促進しようと考えている。 当初計画していた学生投稿の分析結果の活用については、学生の投稿が少数に留まっていることから開発を保留する。学生からの情報取得、たとえば授業で得られたことを知ろうとする場合にはアンケートを中心に行っているが、アンケートは学生に飽きられやすい。そこで、学生が楽しみながら入力できるアンケートについて技術開発をはじめている。
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次年度の研究費の使用計画 |
該当なし。
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