昨今,邪馬台国時代に前方後円墳が築かれはじめたとする見解がマスコミを主流として喧伝されている。本研究は,こうした動きを支えている感覚的な理解のあり方の妥当性を数理的な分析によって検証する。まず,畿内を中心として各地に遺存する最古級前方後円墳(古墳時代草創期を画する)の全体から導かれる特性値を抽出する。一方,邪馬台国が記述されている魏志倭人伝の30ヶ国の人口から導かれる分布特性(べき乗則の特性)を抽出する。この2つの特性値を基礎にした比較分析,およびシミュレーション研究を通じて標記の見解に妥当性がないことが示唆される結果を得た。
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