逆相関法は,脳内計算を探る強力な手法として知られており,生理実験で広く利用されてきた.心理実験でも,被験者の認知判断を調べるため用いられてきたが,その多くは初期の認知過程の実験であった.これは,逆相関法はホワイトノイズ解析の一種であり,実験刺激を強く制約するためである.本研究課題では,逆相関法を拡張し,任意の刺激を用いて非線形な認知判断を推定できる手法を構築した.この手法は,刺激分布の制約なしに,不偏な推定を実現する.また,計算機シミュレーションおよび心理実験により,提案手法の妥当性を検証した.この成果は,自然画像のような構造を持った刺激を用いるのが望ましい,高次認知判断の実験に寄与する.
|