高齢者のICT機器利用がなぜ難しいのか,利用時の問題解決に伴う学習に原因があると考え,系列的な問題解決学習過程を観るGMLT (Groton迷路学習課題)を用い,一連の実験で年齢群比較を行った.隠された正解経路の試行錯誤的な探索学習では,探索方略,及びエピソード記憶の明瞭な想起可能性が大きく影響していた.次に正解を示唆する「埋め込み手がかり」の意味獲得過程の検討では,確率的な複雑な手がかりでは若年群のみ意味獲得がみられたが,単純で決定論的な手掛りでは高齢者も問題解決学習が促進された.しかし,転移課題,経路再生課題では手掛りの効果が群間で異なり,手掛り利用にも加齢効果の存在可能性が示された.
|