研究課題/領域番号 |
23500327
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
伊藤 昭 岐阜大学, 工学部, 教授 (40302301)
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研究分担者 |
寺田 和憲 岐阜大学, 工学部, 助教 (30345798)
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キーワード | コミュニケーションの創発 / 非零和ゲーム / 心を読む |
研究概要 |
我々はコミュニケーションの創発の研究を行っているが、心を読むことに基づくコミュニケーションが本質的に必要とされるのは、利害が完全には一致せず相手からのメッセージが必ずしも信頼できない、にもかかわらず協調が必要とされる、という状況であるという認識に至った。人と人工物のコミュニケーションにおいても、例えば交通流量制御を考えても、全体としての目標は一致していたとしても、制御する側、される側での利害の対立があり、利害の部分的対立下での協調が一般的なコミュニケーション環境である。 上記の認識から、我々は用いるテスト課題を部分的に利害が対立する協調課題とすることで、コミュニケーションの創発がどのような影響を受けるのかを実験的に調査した。具体的には、部分的に利害の対立する状況下での迷路探索課題、また非零和ゲームを用いた行動調整課題などにおいて、あらかじめ意味を付与されていない音信号を用いることで、人がどのようにコミュニケーションを実現し、協調を達成できるのかを観察、分析した。その結果、完全協調課題では単純な信号システムの共有に収束するのに対して、複雑・多様な信号の生成が観測され、完全な信号の共有は実現しなかったものの、信号無しの制御条件に比べて、有意に高いレベルの協調を実現しており、このような状況下でのコミュニケーションの創発を確認した。また、そのなかで、意図的な曖昧さ、虚偽、などの現象が観察され、人の言語現象に近いものが創発されることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
心を読むことのコミュニケーションを、非零和ゲーム、もしくは利害の部分的に対立する状況下での現象として位置付けたことは、大きな成果である。これにより、人の言語コミュニケーションにみられるような、意図的な曖昧さ、虚偽などの現象を発現できた。しかしながら、そのためより複雑な現象を扱わざるを得なくなり、モデル化と計算機への実装は遅れ気味である。現在、観測された信号から意味を自動抽出するアルゴリズムを開発中である。
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今後の研究の推進方策 |
今年度(H26)は研究の最終年度であり、システムの完成をめざすとともに、成果の各種会議での発表、また次の課題への問題点の整理を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
達成度のところで触れたが、システムの実相は遅れ気味である。 その分の経費が若干残ることとなった。 繰越金、次年度助成金(予定)の使用予定は以下の通りである。 物件費としては、実験用の部品の購入を行う。旅費としては、国際会議等の参加費に用いる。その他としては、会議参加費に用いる。また、最終年度であるので、一部を報告書の印刷費に当てる。
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