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2012 年度 実施状況報告書

模倣の発達・進化的起源:自発的同調現象と社会的糊機能に着目した実証的検討

研究課題

研究課題/領域番号 23500330
研究機関九州大学

研究代表者

小林 洋美  九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 学術協力研究員 (30464390)

研究分担者 橋弥 和秀  九州大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (20324593)
キーワード同調 / 自発的模倣 / 社会的糊 / チンパンジー / 言語発達 / わたしたち / 乳幼児
研究概要

ヒトは他者の姿勢や動作に反響される傾向があり、意識せずとも他者と同じ姿勢をとっていたり、同じ動作や同じタイミングで歩いていたりする。この現象は互いに親しい間柄でより生じやすい。ヒト幼児において、幼児が他の幼児の仲間に入りたいときにも、その目標の幼児の行動をまねし、その後、互いに同じ動作をしながら、一緒に遊ぶようになることが報告されている。このときの動作の同調に関して、幼児たちが意識しているかどうかに関しては明らかになっていない。さらに、ヒト以外の動物においてもほとんど報告がない。
そこで、今年度は、北九州市到津の森公園のチンパンジー、京都大学霊長類研究所の熊本サンクチュアリのチンパンジー、京都市動物園のキイロヒヒ、多摩動物公園のオランウータンを対象に実験者であるヒトの動作を真似るか、さらに動作を同期させることが可能かどうかについて調査を行った。到津の森公園のチンパンジーでは、5頭のうち1頭のみが実験者の動作にあわせて動いたが、他のチンパンジーや京都大学霊長類研究所の熊本サンクチュアリのチンパンジーは全く行わなかった。また、京都市動物園のキイロヒヒや多摩動物公園のオランウータンも実験者の動きにあわせることはなかった。さらにペットとして飼育されているイヌを対象に行ったが、ある個体は実験者に合わせて動くようだったので、今後イヌについても検討したい。
以上の結果の一部は、以下で報告した。
小林洋美(2012)GAZE GROOMINGーその発達と進化ー。人類学交流研究会第15回 九州大学大橋キャンパス。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度はヒト以外の動物を対象とした動作の同調に関するデータが多数集まった。主にチンパンジーのデータに関しては現在ビデオ映像からの分析を行っており、まもなく統計的なデータがでるので、それをもとに次年度は論文執筆をおこなう。おおむね順調に進んでいる。ただし、実験者の動作に同調するかどうかを、チンパンジー10頭について調査したが、現時点で1頭のみしか動作同調をおこなわない。次年度も動作同調をおこなうチンパンジーを探したい。また、ヒトを対象として、動作の同調がいつでも誰に対しても行われるのか、あるいは親しい相手に対して特に行われるのかを明らかにしようと、筋電装置や脳波計を使用した実験を計画した。次年度はこの実験の実現にむけて装置を作成したい。

今後の研究の推進方策

今年度はヒトを対象とした実験を主におこなう。ヒト乳幼児を対象として、実験者の動作に同調する発達的時期を特定する。九州大学内に設置された部屋を実施場所とする。ヒト大人を対象としては、同様の実験室において、その場で決められたグループ分けに基づき、自身と同じグループの仲間と他のグループの相手とがテニスをしている映像を眺める。このとき、映像を観察しているときの視線をアイトラッカーで測定し、同時に右腕の筋電図を測定する。動作の同調がどんな相手に対しても行われるのか、あるいは仲間に対してのみおこなわれるのかを調べる。

次年度の研究費の使用計画

大量のデータの保存・分析・編集をおこなう必要がある。また、協力者のプライバシー保護のためにそれらを厳重に保管する必要があり、そのためにはデータを一元的に保存・バックアップすることによって確実に管理をおこなわなくてはならない。したがって高スペックで大容量ハードディスクを備えたコンピュータが必要となる。
協力者への謝金は1回2000円(交通費込み)としており、協力者のご理解のもとに低額におさえているが、十分なデータ数を確保する上で計上した額が必要である。さらに乳幼児の協力者の募集のための広告掲載費も不可欠である。
資料収集・分析のための雇用は、大量のデータをすみやかに処理し成果をまとめる上で必要である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] モアイの白目ー見つめ返せば親友2012

    • 著者名/発表者名
      小林洋美
    • 雑誌名

      眼科ケア

      巻: 14の6 ページ: 74~75

  • [雑誌論文] モアイの白目ーあっち向いてホイ2012

    • 著者名/発表者名
      小林洋美
    • 雑誌名

      眼科ケア

      巻: 14の10 ページ: 78~79

  • [学会発表] ゲイズグルーミングーその発達と進化ー

    • 著者名/発表者名
      小林洋美
    • 学会等名
      第15回人類学交流研究会
    • 発表場所
      九州大学大橋キャンパス

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公開日: 2014-07-24  

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