研究概要 |
本研究では、統計科学のカテゴリーの1つである『ノンパラメトリックな密度関数の推定』に関して理論面及び実用面から接近し、特に『ベルンシュタイン多項式近似』を普及させ、並びに、関連する新しい密度推定法を開発することを目的とする。25年度は、 (1)「ベルンシュタイン密度推定量の加法型・TS積型バイアス修正法」に関する本研究の1つの成果に対し、改訂後、アクセプトされた[専門雑誌Journal of Nonparametric Statistics, 26(1)にて成果を公表した]。 (2)24年度に得ていた知見(台が半無限区間である場合に、先行研究で扱われた第2ガンマカーネル密度推定量よりも、AMISEが小さいような別のガンマカーネル推定量の提案、並びに、再定義されたIG・RIG・BSカーネル密度推定量を含む非対称カーネルの族である変形ベッセルカーネル推定量の提案)に関する研究成果も専門雑誌Statistics & Probability Letters,84(1)にて公表した。 (3)(2)のような変形ベッセルカーネル推定量の族の部分族として、MIGカーネル推定量があり、それとMISE特性が同じであるような加重対数正規カーネル推定量の混合型の推定量の族を見つけることに成功した。また、24年度の1つの研究成果[MIGカーネル推定量の改良としての加法型・TS/JLN積型バイアス修正法]に加え、その他のJF積型バイアス修正法を考察し、その精緻化に成功し、それらを検証する数値実験を実施した。 (4)上記の非対称カーネル推定量はカーネルの形状パラメータを調整することで小標本特性が改善される場合がある反面、(3)の後半のような改良法は機能しないことが理論及び数値実験からも解り、そのような場合に対する漸近理論開発の動機付けとなった。 (5)関数推定の将来的な理論開発に向け、一般化された経験尤度法の文献調査を行い、特に、スペクトル解析での成果を専門雑誌Journal of Time Series Analysis,34(6)にて公表した。
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