(1)大規模な質的データの分類における特徴量の選択 人間の行動、具体的には、立ち止まっている、歩いている、座っている、床に伏せている、などの状態を経時的に測定されるデータによって判別するシステムを作成した。このデータは天井に設置された超音波センサーによって自動的に取得され、センサーに反応するかどうかによって0あるいは1の二値データとなる。 この研究は少子化、高齢化が進む日本社会において、個人のプライバシーを保護しつつ、転倒などによる緊急事態を素早く、確実に察知することを目指している。行動の判別はウェブカメラによる遠隔監視によってより高精度に実現できるが緊急事態への対応というも目的には不必要な個人情報までが収集されるため、強いストレスを感じさせることが多く、日常生活に採り入れることは難しい。一方、超音波センサーであれば個人を特定することなくデータを収集することができることから、生活空間に比較的容易に導入することができる。 超音波センサーによる行動の判別においては、高次モーメントなどの特徴量を時系列データとして解析し、変化点検出手法を用いることで人間の行動、特に起立姿勢と床に倒れて動きがない状態を高い精度で判別することに成功した。 (2)大規模な質的データに対する正則化法およびカーネル法の適用 大規模で疎な構造をもつデータの判別においては、モデルのパラメータ推定の不安定性を回避するために正則化法が用いられることが多い。正則化法においては正則化パラメータという実数をデータに応じて適切に設定する必要がある。本研究ではベイズ型および最短記述長型のモデル選択規準を構成することにより、データに応じた適切な正則化パラメータを選択する手法を提案し、(1)の研究で取得したデータに適用して実際に有効性を検証した。
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