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2012 年度 実施状況報告書

総合効果の分解問題における新たな展開

研究課題

研究課題/領域番号 23500346
研究機関統計数理研究所

研究代表者

黒木 学  統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (60334512)

研究分担者 野間 久史  統計数理研究所, データ科学研究系, 助教 (70633486)
キーワード代替エンドポイント / 因果効果 / 存在範囲
研究概要

平成24年度は、(1)代替エンドポイントを用いた因果効果の評価問題、(2)直接効果・間接効果からみた中間変数どうしの同値性問題、(3)確認的二因子モデルの探索問題、に取り組み、次のような結果を得た。
(1) 中間エンドポイントが完全な代替エンドポイントとみなされる状況を考え,そのもとで、2つの異なる母集団から採取された2値データを用いて治療から真のエンドポイントへの因果効果の存在範囲を定式化した。そのうえで、真のエンドポイントと代替エンドポイントの間に単調性が認められる場合には,治療から代替エンドポイントへの因果効果が認められないならば真のエンドポイントへの因果効果も認められないことを示した.
(2) 2つの異なる中間変数が観測されるとき,それぞれの中間変数に基づいて推定される直接効果と間接効果が一致するための十分条件を提案した.また、ランダム割り付けが行われている状況の下で,処理変数が2値であるとき、直接効果・間接効果が識別可能とする変数群が観測されていれば,傾向スコアを用いて直接効果・間接効果を推定できることを示した.さらに、直接効果・間接効果の推定精度の観点から中間変数の優劣関係を考察し,反応変数に近い変数を解析に取り入れることが必ずしも推定精度の向上につながるものではないことを示した.
(3)2種類の確認的直交二因子モデルの探索問題に取り組み,従来の研究で興味の対象とされてきた相関係数間の等号関係だけではそれらの二因子モデルを同定できず、不等式条件も加味しなければならないことを指摘した.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

24年度は,本研究課題に関係する7本の論文が国内外の学術誌に採択され,将来的に本研究課題を進めるうえで有用であると思われる結果のひとつが国内の学術誌に掲載された.また,応用統計学会で特別講演を行った.

今後の研究の推進方策

昨年度に引き続き、テクノメトリクス研究会に引き続き参加・議論することで,幅広い学術的視野を取り入れるよう心がけていきたい.また,BSネットワークや統計数理セミナーに参加し、議論することで統計的因果推論の実質科学的応用を模索していきたい.加えて,異分野の研究者と共同研究を実施することで応用分野を広げていきたいと考えている.

次年度の研究費の使用計画

九州大学を含めた地方の学術機関を訪問し,共同研究を実施したいと考えている.そのため,25年度研究費の多くを,旅費および訪問先での共同研究を成功させるための備品の購入にあてたいと考えている.

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2013 2012

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)

  • [雑誌論文] Impact of surgical site infections after open and laparoscopic colon and rectal surgeries on postoperative resource consumption2013

    • 著者名/発表者名
      Fukuda H, Morikane K, Kuroki M, Kawai S, Hayashi K, Ieiri Y, Matsukawa H, Okada K, Sakamoto F, Shinzato T, Taniguchi S.
    • 雑誌名

      Infection

      巻: 40 ページ: 649-659

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Multiple Imputation 法によるネステッドケースコントロール研究,ケースコホート研究の解析2013

    • 著者名/発表者名
      野間久史,田中司朗,田中佐智子,和泉志津恵
    • 雑誌名

      計量生物学

      巻: 33 ページ: 101-124

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 構造的因果モデルについて2012

    • 著者名/発表者名
      黒木学・小林史明
    • 雑誌名

      計量生物学

      巻: 32 ページ: 119-144

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 誤差相関のない確認的直交二因子モデルの探索可能性について2012

    • 著者名/発表者名
      水関裕人・黒木学
    • 雑誌名

      応用統計学

      巻: 41 ページ: 129-152

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Discussion on "Experimental designs for identifying causal mechanisms"2012

    • 著者名/発表者名
      M.Kuroki
    • 雑誌名

      Journal of the Royal Statistical Society, Series A

      巻: 173 ページ: 37-38

    • 査読あり
  • [学会発表] 統計的因果推論入門2013

    • 著者名/発表者名
      黒木学
    • 学会等名
      2012年度日本行動計量学会春の合宿セミナー
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130329-20130330
    • 招待講演
  • [学会発表] ロジスティック回帰モデルにおける併合可能性について2012

    • 著者名/発表者名
      黒木学・水関裕人
    • 学会等名
      日本品質管理学会第42回年次大会研究発表会
    • 発表場所
      石川県
    • 年月日
      20121026-20121027
  • [学会発表] 統計的因果推論における原因の確率の考え方2012

    • 著者名/発表者名
      黒木学
    • 学会等名
      応用統計学会2012 年度年会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20120524-20120524
    • 招待講演

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公開日: 2014-07-24  

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