研究課題/領域番号 |
23500346
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
黒木 学 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (60334512)
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研究分担者 |
野間 久史 統計数理研究所, 大学共同利用機関等の部局等, 助教 (70633486)
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キーワード | 補助変数 / 中間変数 / 因果効果 / 潜在反応アプローチ |
研究概要 |
平成25年度は、(1)潜在反応アプローチを利用した統計的医療診断法の開発、(2)補助変数を利用した因果効果の推定法の研究、に取り組み、次のような結果を得た. (1) 統計的医療診断法で使われているYouden Indexのアイデアと統計的因果推論の枠組で議論されているProbability of Necessity and Sufficiencyの解釈に類似性があることを指摘し,医療診断法の性能を適切に評価するためには,交絡因子の同定や単調性といった仮定が重要であることを指摘し,単調性が成り立たない状況においてどのような誤判断が行われるのか考察を行った. (2)線形構造方程式モデルの枠組において,補助変数を用いて因果効果の推定精度を向上させる問題を考え,処理変数から反応変数への直接効果がない状況においては中間変数を含む補助変数の集合を解析に取り込むことで,単一の回帰モデルを用いたよりも因果効果の推定精度を向上させることができることを示した. また,中間変数でだけを解析に取り入れるだけでは推定精度を向上させることができない状況があることや中間変数が誤特定されている場合であっても推定精度を向上させることができるケースがあることを示した.加えて,同様な結果が離散データに対しても成り立つことを示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
25年度は,本研究課題に関係する5本の論文が国内外の学術誌に採択され,将来的に本研究課題を進めるうえで有用であると思われる結果のひとつにより,指導する学生が日本品質管理学会優秀発表賞と日本統計学会春季大会学生優秀発表賞を受賞した.
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今後の研究の推進方策 |
昨年度に引き続き、今年度後半からテクノメトリクス研究会の主査となることから,本研究会の活性化をはかることで,幅広い学術的視野を取り入れるよう心がけていきたい .また,統計数理セミナーに参加し、議論することで統計的因果推論の実質科学的応用を模索していきたい.加えて ,異分野の研究者と共同研究を実施することで応用分野を広げていきたいと考えている.
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次年度の研究費の使用計画 |
国外の大学での在外研究を予定していたが急きょ取りやめたため. 現在、5つの国際会議での発表を予定している.
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