研究課題/領域番号 |
23500348
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
濱崎 俊光 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (40379243)
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研究分担者 |
杉本 知之 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70324829)
上坂 浩之 大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任教授 (60446250)
山本 紘司 大阪大学, 医学部附属病院, 特任講師(常勤) (10548176)
林 賢一 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70617274)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 臨床試験 / 多重エンドポイント / 部分集団解析 / Enrichmentデザイン / 国際共同試験 |
研究概要 |
平成23年度においては,目標として掲げた三つの課題のうち,課題(1)「複数の評価指標と仮説を伴う臨床試験のデザインと解析」について大きな成果が得られた.これまでの研究では,評価指標がすべて連続変数である場合をとり扱っていたが,ガンや循環器疾患などの現実の臨床試験では,評価指標が2値変数や事象時間変数であったり,あるいは一方が2値変数で他方が事象時間変数あったりする.そこで,(1) 評価指標が2値変数で,リスク比やオッズ比に基づく場合,(2) 評価指標が事象時間変数で,ログランク検定統計量に基づく場合,およびより簡便な方法として(3) 事象時間変数に指数分布を仮定した場合,(d)2値評価指標と事象までの時間が混在する場合の標本サイズの設計の方法を整備し,標本サイズの算出方法と検出力の挙動を検討した.このとき,これらの検討ではすべての評価指標について統計的有意性を主張する場合,少なくとも一つの評価指標について統計的有意性を主張する場合の二つの状況で吟味した.さらに,標本サイズの計算では通常,grid searchが用いられることが多いが,計算に時間がかかるという難点があった.そこで,その計算時間を短縮するためのアルゴリズムを開発した.ここで開発・整備した方法については,広く実地で使用できるように,利用可能なプログラム(R/SAS/Fortran)としてWEBで公開した.課題(2)の「Enrichment集団を対象とする臨床試験のデザインと解析」については,Enrichment集団の解析を部分集団解析として捉え,その多重性を考慮した解析方法の問題点を整理した.課題(3)の「国際共同試験のデザインと解析」については,継続して国際共同試験データを利用して日本で承認された医薬品について事例研究を行った.得られた成果については,国内・海外の学会などを通じて結果を広め,客観的評価と批判をうけた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目標として掲げた三つの課題のうち,課題(1)では大きな成果が得られ,研究期間3年を通して目標として掲げたほぼ8割程度の内容を達成した.課題(2)および課題(3)では,本年度に目標として掲げた内容をほぼ達成した.
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今後の研究の推進方策 |
全体計画に基づき,とくに実地での適用拡大と方法論の標準化の二つに重点をおきながら,昨年度からの研究を発展・拡大させる予定である.研究代表者・分担者は年度末にそれぞれの結果をもち寄って議論し課題・問題点を整理し,そのうえで総合的な評価を試み.また,その段階で進捗状況を整理し,進展が著しい,あるいは進展がとくに期待されるか,または他の領域に大きい影響を及ぼすと考えられる研究箇所は適宜に役割分担を追加もしくは入れ替えといった調整を行い,研究計画・方法を見直した.とくに,課題(1)については,大きな成果がえら得れたことから,その成果の纏めとして,また研究をさらに発展させるために,外国から研究者を招へいし,8月にワークショップを開催することを計画している.
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次年度の研究費の使用計画 |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込額と執行額は異なったが,研究計画に変更はなく,前年度の研究費も含め,主として国内外での研究成果の発表,研究成果の投稿料として,当初予定通りの計画を進めていく予定である.
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