研究課題/領域番号 |
23500349
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
上坂 浩之 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 研究員 (60446250)
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キーワード | adaptive design / sample size reestimation / group sequential design / gate keeping procedure |
研究概要 |
課題1:「定量変数および2値応答変数における探索研究デザインの評価」については、用量ごとにプラセボ対照並行群デザインとする群増量デザインの各投与量群において2段階デザインを適用し最適な無効中止基準を設定する問題の定式化を行った。 課題2:「定量エンドポイントにおける適応的デザインの実用化研究」については、昨年度考案した変形3段階適応デザインに関して、あらたにα分割デザインを考案した。また、群逐次デザインについて片側仮説に関する境界設定法、および、Wang-Tsiatisによる冪型境界を追加した。これらのデザインを決定するデザインパラメータがデザイン性能に与える影響を、種々の想定エフェクトサイズと真のエフェクトサイズの組み合わせに関して評価した。この研究は進行中であるが途中までの成果は第26回国際計量生物学会議(8月26-31、神戸)および統計関連学会連合大会(9月10-12日北海道大学)にて報告した。現在、論文準備中である。本課題に関してS-PLUSを用いてコンピュータプログラムを開発した:3段階適応型デザインの被験者数、検出力、その他種々の性能評価指標の計算プログラム、および、3段階までの群逐次デザインのサンプルサイズ、検出力、ASN、棄却限界値等の計算プログラム。 課題4:「多重仮説の構造化と統計的推測法」については、基本仮説の個数が3および4の場合に考えうる直列型、並行型、樹木構造、独立系列型などのさまざまな仮説構造を定式化し、それらにおける種々のp値調整法を考察し調整p値の公式を導いた。この成果の一部を国際計量生物学会議(8月26-31日、神戸)にてポスター発表し、優秀ポスター発表として表彰された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
課題2に関しては当初の計画通り3段階適応デザインの比較の結果を国際学会(国際計量生物学会議、2012年8月神戸)、ならびに、上記のデザインを従来の群逐次デザインと比較した結果を統計関連学会連合大会(2012年9月北海道大学)で発表した。また論文の草稿を作成中である。研究を進める中で浮上した既存の群逐次デザインとの比較、片側仮説に関する基準の導入などを含め、コンピュータプログラムを並行して開発し、今研究で開発したデザインおよび既存のデザインの比較等を通して臨床試験の計画に適用できる段階に達している。このように、本課題に関しては順調に進んでいると判断している。 課題4に関しては、国際計量生物学会議(2012年8月、神戸)でポスター発表し、その内容をさらに深めて、現在論文にまとめつつある。この課題に関しても種々の仮説構造に関して具体的な公式を示しており実用に供することが可能と考えている。以上のとおりでありほぼ予定通りの進捗である。 課題1は、昨年10月から検討を開始し、理論的考察の第一段階が終了した。若干の遅れと考える。 課題3は関連文献を収集しているが、具体的には進展していない。理由は、課題2に時間を割く必要が生じたこと、および、研究協力者の異動による時間確保が依然困難なことなどによる。ただし、研究協力者を加えて課題を検討する会合をもつなど徐々には進めている。 以上、課題間で研究の進展に差はあるものの、全体としては概ね順調と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
課題1:「定量変数および2値応答変数における探索研究デザインの評価」については、現在の定式化に基づく評価を行い、学会で発表するとともに、新たな展開を検討し、簡単な論文にまとめる予定である。 課題2:「定量エンドポイントにおける適応的デザインの実用化研究」については現在までの理論的検討結果を英文論文として投稿する。さらに実際の臨床試験の計画に当たっての考え方を考察し、国内外の学会で報告し、本デザインの実用化を図る。 課題3:「事象エンドポイントにおける適応的デザインの実用化研究」については、課題2を終えた段階で課題3に集中し、理論的側面を整理し、今後の展開の基礎を固めたうえで今後の展開の可能性を検討する。 課題4:「多重仮説の構造化と統計的推測法」については、本課題の成果の一部を日本語での解説論文として報告するとともに、さらなる展開の可能性を検討し、英文での投稿へとつなげる予定である。 以上の課題を推進するため、定期的に勉強会を開催し、研究の推進を図る。
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次年度の研究費の使用計画 |
課題2と4について問題の見方を変えて考察を加え、国内外の学会で報告するとともに、論文の投稿を完了する予定である。このため学会参加と論文の英文化にかかわる費用が発生する。 研究推進にあたり連携研究者、共同研究者との会合を随時開催する予定であり、そのための旅費が発生する。 その他、必要に応じ文献、書籍等の購入ならびに資料の作成にかかわる費用が発生する。
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