研究課題/領域番号 |
23500350
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
内藤 貫太 島根大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (80304252)
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キーワード | 関数推定 / 平滑化 / パターン認識 / 高次元小標本 / 生物統計 |
研究概要 |
研究計画調書・交付申請書に記載の通り、深化研究(数理的研究)、展開研究(手法開発)、応用研究(実データ解析)の3つを同時に進めた。 深化研究では、B-スプライン罰則回帰の漸近理論の研究を更に進めた。説明変数が多次元での加法モデル、離散応答を含めた一般化加法モデルにおけるB-スプライン罰則回帰の漸近的結果を導出し、1本の論文が出版され、1本が投稿中である。また、セミパラメトリック回帰の枠組みでのB-スプライン罰則回帰の漸近的結果も導出し、1本の論文として出版した。 展開研究においては、高次元小標本の枠組みでのパターン認識の問題について、正準相関分析から導かれる統計量に基づいた手法を確立し、その挙動を調べた。この結果は1本の論文として出版された。この論文での理論を多クラスのパターン認識の問題へ拡張した。多クラスのパターン認識において、誤判別確率の漸近上界を与え、さらに変数選択、いわゆるFeature Selectionの手法を開発し、その性能をシミュレーションおよび実データへの適用を通して評価した。Uダイバージェンスの逐次最小化による密度推定について議論した。従来の2乗距離や、カルバック・ライブラーダイバージェンスに基づく結果の一般化となっており、任意の凸関数Uから密度推定量を構成する包括的手法となっている。この結果は1本の論文として出版された。 応用研究においては、スプライン平滑化のエレガントな応用であるLMS法の多次元化に取り組み、実用段階に達している。この多次元化により、胎児発生の多次元的スタンダードが得られることになる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書・交付申請書に記載の通り、深化研究(数理的研究)、展開研究(手法開発)、応用研究(実データ解析)の3つを同時に進めた。 深化研究では、B-スプライン平滑化の漸近理論の研究を進め、説明変数が多次元の場合の加法モデルおよび一般化加法モデルでの漸近的結果を導出し、論文は1本出版され、1本が投稿中である。Semiparametric Penalized B-Spline Regressionという新たな手法に関する論文1本が出版された。 展開研究において、正準相関に基づくパターン認識手法の挙動を高次元小標本の枠組みで議論した論文1本が出版された。さらにUダイバージェンスの逐次最小化による密度推定に関する論文1本も出版された。 応用研究では、引き続き歪曲度のノンパラメトリック推定およびLMS法の多次元化の問題に取り組んだ。 全体を見渡し、4本の論文の出版につながったことから、概ね順調に研究が進んでいるものと判断する。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度に得られた結果を評価・検証しつつ、基本的に24年度の研究を継続する。研究計画書に記載した、深化研究20%・展開研究40%・応用研究40%というエフォートの見直しは必要ないと判断している。 深化研究において、離散応答のセミパラメトリック核型回帰推定量の挙動に関する研究、およびスプラインに基づくセミパラメトリック分位点回帰に関する研究の進捗を得たい。 展開研究では、多クラスのパターン認識の、高次元小標本の枠組みでの漸近理論の論文を完成させる。逐次最適化に基づく機械学習の手法提案とその改良についても議論を継続する。 応用研究では、LMS法の多次元化の理論を完成させ、実データへの適用を促進する。 国内での学会、研究集会で講演発表を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
アデレード大学での共同研究のための旅費を想定していたが、アデレード大学より招待を受け、その旅費が不要となったため、その分を繰り越すこととなった。25年度もアデレード大学はじめ豪州の大学に共同研究に出張するので、外国旅費を計上する。大阪で 開催される学会や秋季に開催される研究集会での発表のための国内旅費も計上する。
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