研究課題
平成23年度は、以下のテーマについて集中的に研究を行った。1.多変量空間データの分類とホットスポットの検出:本研究では、(1)空間データとして与えられる多変量データを変量毎の合計や主成分分析により次元を縮約した1変量データに基づく分類、(2)多変量データの主成分分析を行い、寄与率の高い次元の主成分空間に各格子を布置し、そのボロノイ分割に基づき近傍情報を定義し、総合指標化されたデータに対する分類、について研究を行った。さらに、日本の4大死亡原因による都道府県データに対して、年齢構成を調節した指標SMRを用いたEchelon解析に基づく階層構造により、疾病毎の時系列的に地域が変化するホットスポットを検出した。また、寄与率の高い低次元主成分空間におけるホットスポットの検出を行い、地域と疾病との関係を統計的に説明した。2.森林の空間的な生態構造分析:森林の空間的な生態構造を利用した解析を行うため、森林の構造において重要な意味を持つパッチに基づく構造分析について議論した。すなわち、樹木の大きさにより森林を層別した上で空間的な階層構造を求め、同位相をもつ近隣樹木群に基づいてパッチを検出し、森林の生態構造分析を行う方法について研究した。3.空間構造を利用したSNPデータの解析:疾患に関連するSNPの検出には、遺伝子頻度が有意に高い頻度で出現する連鎖不平衡に基づく方法が有効である。そこで、SNPのエシェロン階層構造に基づき関連ブロック遺伝子を検出し、ブロックの代表SNPを選択する方法について研究した。さらに、これらの関連解析を行うにために、モデルを選択する方法について研究を行なった。 これらの研究成果は、韓国中央大学における国際会議での招待講演、ISI2011、IASC2011などの国際会議、統計関連学会連合などの国内学会で講演するとともに、国内外の査読論文誌において公表した。
2: おおむね順調に進展している
本研究で掲げた平成23年度の実施計画である、1.多変量空間データの分類とホットスポットの検出、2.森林の空間的な生態構造分析、3.空間構造を利用したSNPデータの解析、は予定通りに行われている。これらの成果は、国内外の学会や論文誌として随時公表している。
平成24年度は、平成23年度に引き続き、多次元・多変量時空間情報に対する同位相分類に関する研究を推進する。また、マルコフ確率場における時空間同位相領域分類の研究として、適用分野を医学・疫学に絞り、小地域おける疾病率や死亡率のマルコフ確率場における構造や同位相領域分類について考える。すなわち、時間及び空間上での時間的・空間的構造に基づき近傍情報を定義し、時空間上の立体全体の階層構造及びホットスポットの検出を行う。さらに、地域データの解析における近傍情報の拡張として、山脈や川などの地形や鉄道・交通などの交通網に対応した新近傍を定義し、新たな近傍情報に基づく地域構造について考察する。
平成24年度は、本研究で考察されたものを国内外の関連分野の学会・研究会・シンポジウムなどにおいて積極的に公表する予定であり、そのための旅費として計上している。また、開発した手法の有効性の検証するためのデータの費用を計上している。さらに、研究成果として得られた手法のソフトウェア化を行うために最新の統計ソフトウェア及びGISソフトウェアの費用が必要である。
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