研究課題/領域番号 |
23500352
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
栗原 考次 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (20170087)
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キーワード | ホットスポット / 時空間 / 可視化 / 情報システム |
研究概要 |
平成24年度は、以下の3つのテーマについて集中的に研究を行った。 1.多次元空間データの分類とホットスポットの検出:空間データの同位相分類においては、空間データの値を近傍データと比較することが必要である。2次元空間規則格子データでは4、8近傍系、非規則格子データでは隣接や距離を基づき近傍を定義し、同位相分類及びホットスポット検出を行った。3次元空間では、規則格子データのみを取り扱い、6、26近傍系における同位相分類を行うとともに、具体的な3次元データに対してホットスポットを検出した。4次元空間については、3次元空間に加え時間軸を4次元目の空間として考え、隣接する時間の同位置を近傍として定義し、4次元時空間データの同位相分類及びホットスポットを求めた。 2.森林の空間的な生態構造分析:森林の樹木の動態調査や定量的評価を行うため、森林において生態学的に同じ共通属性を持つパッチに基づく構造分析について研究した。すなわち、森林を構成する全樹種の生態や森林の更新を反映したパッチを同定するために、エシェロン同位相分割領域の階層構造に基づき生態構造分析を行う手法について研究した。また、具体的に試験地データに適用し、提案した手法の優位性を示した。 3.空間構造を利用したSNPデータの解析:SNP間の組換え頻度により、組換えがほとんど起こっていない連鎖不平衡の領域を同定することができる。そこで、連鎖不平衡係数及び位置情報を用いて、こうした領域の検出及び空間的な構造を検討するとともに、ブロックの代表SNPを選択する方法について研究した。 これらの研究成果は、日伊国際分類学会での招待講演、ヨーロッパ地区国際計算機統計学会(COMPSTAT2012)、環太平洋統計関連学会(IMS-APRM2012)等の国際会議、統計関連学会連合などの国内学会で講演するとともに、国内外の査読論文誌において公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究で掲げた、1.多次元空間データの分類とホットスポットの検出、2.森林の空間的な生態構造分析、3.空間構造を利用したSNPデータの解析、は予定通り順調に行われている。これらの研究成果は、国内外の学会や論文誌として随時公表している。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、平成24年度に引き続き、多次元・多変量時空間情報に対する同位相分類に関する研究を推進する。多次元時空間情報については、順序尺度で得られる多次元分割表を対象に研究を進める。すなわち、分割表における多次元空間上で空間的構造に基づき近傍情報を定義し、時空間上の立体全体の階層構造及びホットスポットの検出を行う。また、地域データの解析における近傍情報の拡張として、山脈や川などの地形や鉄道・交通などの交通網に対応した新近傍を定義し、新たな近傍情報に基づく地域構造について考察する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は、本研究で考察されたものを国際分類学会(IFCS2013)での招待講演、国際統計会議(ISI2013)等の国際会議、国内外の関連分野の学会・研究会・シンポジウムなどにおいて積極的に国内外で公表する予定であり、そのための旅費として計上している。次年度使用額として残した助成金は、旅費の一部として使用予定である。また、研究成果として得られた手法のソフトウェア化を行うために最新の統計ソフトウェア及びGISソフトウェアの費用が必要である。
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