本研究課題に関して進んだ研究は,主に「L1 正則化法である LASSO における正則化パラメータ選択のための AIC の導出」である.変数選択と推定を同時に遂行する LASSO は,空間統計学に限らないあらゆる統計・機械学習分野のホットトピックであり,この問題に対してもこれまでいくつかの情報量規準が提案されてきた.それらのほとんどはモデル選択の一致性を満たすように作られているが,結局その中から最適なものを決定する手段が存在せず,使うべき情報量規準が結局定まらないという大きな弱点をもつ.一方,一致性ではなく予測誤差最小化という観点で,LASSO のための AIC の有限補正は正規線形回帰モデルの枠組みで与えられている.これは上述の問題点を有さないが,一般化線形モデルの枠組みで与えられない.そこで,漸近論を用いた AIC 元来の定義に基づき,一般化線形モデルの枠組みで Kullback-Leibler ダイバージェンスの漸近不偏推定量を与えた.ちなみに,LASSO の漸近論は通常の推定量に対する漸近論の枠組みには含まれないため,確率場の最大値に関する理論が必要となり,本研究課題において積み上げてきたものを活用している.具体的には,凸解析に基づき,AIC の導出の際に必要となる種の確率場の確率収束を,ある正則条件のもとで導いた.与えた情報量規準は正規線形回帰モデルの枠組みで AIC の有限補正となるため,その一般化とみなせる.簡易な形で与えられるため,交差確認法に比べて計算コストは少ないが,パフォーマンスはほとんど同等か上回ることを数値実験で確認した.成果はプレプリントとして既にまとめており,現在それは投稿中となっている.
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