研究課題/領域番号 |
23500364
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研究機関 | 統計数理研究所 |
研究代表者 |
佐藤 整尚 統計数理研究所, データ科学研究系, 准教授 (60280525)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 季節調整法 / 電力需要予測 / 異常値処理 |
研究概要 |
平成23年度は予測マシン開発のための基礎研究を行った。特に、東日本大震災やそれに続く原子力発電所の事故のため電力需要の予測に関心が集まり、それに伴い、当初予定してなかった時間データに対する予測モデルの研究を行った。状態空間モデルを利用した多次元の季節調整モデルの構築とその応用について時間を割いて研究を行った。その結果、従来の予測モデルとは異なる、周期パターンが変化するような場合でも対応可能なモデルに構築に成功した。本年度のように震災や節電などで、これまでのパターンとは大きく異なることが予想されるときには、このようなモデルがより適当であると考えられる。この分野については必要な外生変数の調査をさらに進めて、より精度の高い予測モデルの構築を目指していく予定である。 経済統計の分野においては、リーマンショックや大震災等で、異常値が多く現れるようになっており、適切な対応を怠って、そのままで、季節調整や予測を行うと正しい値にならない可能性がある。これに対応するために、従来よく利用してきた季節調整法であるDecompを改良して、様々な、異常値を検出できるオプションを組み入れたものを開発した。これを利用することで、それほど、詳しい知識を持ち合わせていなくても、異常値検出を自動的に行うことができ、よりよい季節調整法の適用や予測方式の開発に役立つものである。また、これまで考えられてきた異常値のパターンに対していくつか新しいパターンを追加している点もほかのソフトウエアにはない特徴である。この改良版Decompについては、必要性が高いと判断して、希望する実務家に対してすでに配布をしている。そして実際に使ってもらいながら、さらなる改良をおこなっていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では一般的な金融経済データに対応するモデルの評価法などを研究する予定であったが、震災等の対応で、当初考えていなかった電力需要に特化した研究を行ったため、これらについては次年度に行うことを計画している。しかしながら、当初の計画にはなかったより発展した季節調整モデルの開発ができたことは成果であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
予測マシンを構築する上でのデータベースの整備を急いで行う必要があるので、これに注力していきたい。
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次年度の研究費の使用計画 |
データベースベンダーと交渉して、目的に沿うようなデータを取得するために費用を多く支出する予定である。
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