研究課題/領域番号 |
23500369
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
関根 広 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (40187852)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2016-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 時間線量分割関係 / LQモデル / GLQモデル / 放射線感受性 / 不均一放射線感受性 |
研究実績の概要 |
不均一な放射線感受性を持つ腫瘍を作成し、GLQモデルを用いて時間・線量・分割効果関係を考察した。 1.分割照射の総線量が一定の場合に、照射開始曜日によって局所制御率に影響があるか. 2.分割照射の途中に、長期の休止期間が入った場合に、局所制御率に影響するか. また影響するとすればどの程度の補正線量が必要かを検討した. 【検討1】モデル腫瘍500例20群を1セットとして2セット作る。標準治療として60Gy/30fr/6週として各群の生存率を求める。月曜日を初診日として、照射開始日を金曜日とする群と、次の月曜日とする群の局所制御率を求めた。【結果1】腫瘍の大きさを考慮しなければ、照射開始日は金曜日でも次の月曜日でも局所制御率に有意差はない(p=0.317)。 【検討2】長期に渡る放射線治療の休止により、局所制御率の低下が示唆されている。そこで休止期間の長さと、休止時期により局所制御率にどのような影響があるか検討した。照射の休止期間は2週間とし、休止時期は分割照射の5回目、10回目、15回目、20回目、25回目の後に設定した。【結果2】いずれの時期に2週間の休止期間が入っても、局所制御率は明らかに低下した。分割照射に休止期間が入る場合には、照射開始から早い時期に休止期間が入る方が局所制御率の低下は大きいために、補償する線量を多くする必要があり、4Gy/2fr-2Gy/frの追加が必要であった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
放射線治療の時間線量分割関係を用いた局所制御率の推定は、治療期間が異なる場合や、休止期間が入る場合にはLQモデルでは評価不能であった。本研究で提唱したGLQモデルは時間軸を考慮しているため、複雑さはあるが時間因子を考慮して局所制御率を求めることができた。近年のコンピュータの進歩により、専門家でなくてもこの程度の処理は可能となった。休止期間が入ったときに、線量増加をどうするかを理論的に説明することは困難であるが、本方法を用いて可能であることを示すことができた。 また、不均一な放射線感受性腫瘍を照射したときの時間線量分割関係を3次元的にシュミレーションすることもでき、当初の計画どおりに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はコンピュータシミュレーションによる放射線治療の体系化を目指して行ってきた。腫瘍と正常組織の反応性の違いにより放射線治療が成立する。GLQモデルは腫瘍と正常組織に適応できると考えており、正常組織反応は放射線による皮膚紅斑を定量的に評価した結果からGLQモデルにより時間線量分割関係を明示的に示すことができた。本結果はホームページで閲覧可能であるが、論文化を行う。 また、不均一放射線感受性モデルの作成と、放射線治療の時間線量分割関係を明示的に示す方法を論文化する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会での旅費を考えていたが、学会の演題が採択されなかったため、研究費からの支出は行わなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
今後、残金は論文発表のための印刷費として使用を予定している。
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備考 |
本研究はコンピュータシミュレーションを行っており、動的シミュレーションを用いているので紙媒体の論文では表現できないコンテンツを作成している。
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