研究課題/領域番号 |
23500373
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
長野 希美 独立行政法人産業技術総合研究所, 生命情報工学研究センター, 主任研究員 (70357648)
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研究分担者 |
加藤 毅 群馬大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (40401236)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 酵素 / 補酵素 / 酵素反応 / 活性部位 / 構造 |
研究概要 |
研究代表者・長野は、活性部位における補酵素結合様式の分析を行うために、補酵素としては、ニコチンアミド系の補酵素(NAD(P)+、NAD(P)H)とピリドキサール・リン酸(PLP)を選んで解析を進めることにした。NAD(P)補酵素とPLPの共通点は、いずれもリン酸基を介して、酵素蛋白質と結合していることである。しかしながら、NAD(P)補酵素は、比較的大きな分子で、コンフォメーション変化も大きいのに対し、PLP補酵素は、分子そのものは小さいのでコンフォメーション変化は小さい。但し、NAD(P)補酵素が担う反応は、ヒドリド転移反応という比較的シンプルな反応であるのに対して、PLP補酵素は、複数の反応ステップを担い、酵素蛋白質の活性部位に含まれるリジン残基と共有結合(二重結合、単結合)を形成したり脱離したり、基質化合物のアミノ基と共有結合(二重結合、単結合)を形成したり脱離して、酵素蛋白質に対し、状態を大きく変えることが予想される。従って、この2種類の補酵素を比較することにより、より一般的な補酵素結合様式を分析することが可能になる。NAD(P)補酵素を結合する酵素は、主に、酸化還元酵素であるが、その進化的関連酵素には、異性化酵素やリアーゼ酵素なども含まれている。PLPを結合する酵素としては、アミノ基の代謝を行う転移酵素やリアーゼ酵素が主に含まれている。研究代表者・長野は、こうした酵素の活性部位テンプレートを作成するために、まず、酵素反応の分類を行う必要があると考え、NAD(P)補酵素が関与するヒドリド転移反応の分類を行った。40種類のNAD(P)補酵素結合酵素から60種類のヒドリド転移反応の分類を行った結果は、現在は未公開であるが、平成24年度中に、研究代表者が構築しているEzCatDB酵素反応データベースのRLCP分類で公開する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
活性部位テンプレートを作るのに、酵素反応分類が必要で、予定よりも時間が掛かっているため。また、当初の予定では、PLP結合酵素を解析対象とする予定ではなかったが、研究内容を検討した結果、解析対象に入れるべきと判断し、作業内容が増えたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ピリドキサール・リン酸(PLP)などを結合している酵素の活性部位の構造の類似度と各活性部位構造のRLCP分類に登録されている反応ステップと相関がないか、主成分分析などを行い、基礎的なデータを収集・解析する予定である。補酵素に対する酵素蛋白質の触媒残基の位置関係が、反応ステップによって、どのような変化があるかを解析する。解析には、既存のプログラムを活用する予定であるが、研究の状況によって新しいプログラムを開発する予定である。これら解析結果を、学会発表・論文発表する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当該年度は、新プログラムの開発を外注する予定であったが、外注先の会社が倒産し、予定を変更したため、若干繰り越すことになった。繰り越した額に関しては、次年度の学会などへの出張旅費、論文の英文校正、文献複写、PCや専門書の購入など、予算が不足しそうなところに充てる予定である。また、研究の状況によっては、当該年度に行わなかったプログラム開発に予算を充てることも検討している。
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