研究実績の概要 |
本事業で開発した、大量のタンパク質基質結合(候補)部位の比較に適用可能な高速なアルゴリズムを用いた、タンパク質立体構造データベース(PDB)の網羅的解析の結果をまとめたデータベースPoSSuMの更新と改良を行った。PoSSuMは、PDBのエントリー増大などに伴い、約550万の既知及び未知結合部位の網羅的比較からおよそ4,900万の類似結合部位ペアを収載したデータベースへと成長した。また、PoSSuMのユーザインターフェースや視認性の改善などを行った。更にこうした網羅的解析結果のドラッグリポジショニングや副作用予測などへの応用に向け、PDB中の低分子医薬品結合部位に焦点をあてた新たなデータベースPoSSuMdsの開発を行った。PoSSuMdsでは、PoSSuMに登録されている結合低分子医薬品について、EMBL-EBIが公開しているChEMBLの化合物情報へのリンクと アッセイデータへのリンクが提供されている。PoSSuM中の既知結合部位のうち、低分子医薬品の結合部位は2,595部位、ユニークな低分子医薬品数は194個であった。また、PoSSuM中でこれらの結合部位と類似する部位は2.6万余検出された。これらの類似部位の中には、ChEMBLにおいて低分子医薬品とのアッセイ情報を含むものが多数存在した。これにより、結合(候補)部位の類似性とChEMBLのアッセイ情報の両面から、低分子医薬品の潜在的な結合(候補)部位を有するタンパク質の検索が可能となった。
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