研究課題/領域番号 |
23500377
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研究機関 | 仙台高等専門学校 |
研究代表者 |
平塚 眞彦 仙台高等専門学校, 情報ネットワーク工学科, 准教授 (80331966)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | 計算機システム / 生体生命情報学 / 分子コンピューティング |
研究概要 |
無配線分子コンピューティングの可能性を総合的に検証するために,集積回路工学と計算機科学の観点から,下記の2項目の取り組みを並行して実施した.1.集積回路工学の観点から: 分子回路の構成に関して機能的に完全な人工触媒素子の機能モデルを定式化した.また,この人工触媒素子をマイクロ電極デバイスとして実現し,これを2次元配列状に集積化した人工触媒素子チップを開発した.マイクロ電極の協調動作により,チップ上の微量溶液中に人工的に制御された2次元反応拡散場を創出することを試みた.これは無配線集積回路の動作原理を実証する重要な成果である.2.計算機科学の観点から: 人工的な反応拡散場を利用した新しいコンピューティング/信号処理モデルを検討した.これは究極的には人工触媒素子チップにおいて完全並列に実現することを想定するが,用途によっては本研究者らのグループが提案する「ディジタル反応拡散システム(DRDS: Digital Reaction-Diffusion System)」と呼ぶ非線形多次元フィルタの枠組みを利用して,シグナルプロセッサ上で実現することも可能である.DRDSを用い,(1)生物系テクスチャ画像の生成,(2)指紋画像の復元,(3)2次元経路探索,(4)ボロノイ図生成などのアルゴリズムを検討し,計算機シミュレーションにより検証を行った.これはある種の並列計算の可能性を示唆する有用な成果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
東日本大震災の被害を受け,年度当初の研究開始が遅れ,震災復旧に時間を要した.現在は研究環境が震災前と同程度に回復しており,研究計画を遂行中である.「研究の目的:無配線分子コンピューティングの可能性の総合的検証」の達成度1.集積回路工学の観点から: 分子回路の構成に関して機能的に完全な人工触媒素子の機能モデルを定式化した.また,この人工触媒素子をマイクロ電極デバイスとして実現し,これを2次元配列状に集積化した人工触媒素子チップを開発した.無配線集積回路の動作原理の実証を目指し,原理実験を実施している段階にある.2.計算機科学の観点から: 人工的な反応拡散場を利用した新しいコンピューティング/信号処理モデルを検討中である.本研究代表者らのグループが提案する「ディジタル反応拡散システム」と呼ぶ非線形多次元フィルタの枠組みを利用して,種々の応用アルゴリズムを開発中である.アルゴリズムレベルの検討と計算機シミュレーションを実施している段階にある.
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今後の研究の推進方策 |
集積回路工学と計算機科学からの取り組みを並行して実施する.1.集積回路工学の観点からの取り組み: 各種の非線形結合振動子系を実現する人工触媒ネットワークを設計するとともに,当該年度に試作した2次元人工触媒素子チップをプログラムすることにより,その動作を確認する.特に,FitzHugh-南雲方程式に代表される興奮場の反応拡散ダイナミクスをチップ上で再現し,Belousov-Zhabotinski反応のような動的に伝搬する反応拡散波の発生を確認する.さらに,人工触媒素子チップの最適な幾何学的配置などについて試作実験を通して総合的に検討する.また,チップ上で発生する反応拡散波の可視化や,これを用いた経路探索やボロノイ図生成の実現などを含め,説得力のあるデモンストレーションを試みる.2.計算機科学の観点からの取り組み: 当該年度に検討した応用(1)生物系テクスチャ画像の生成,(2)指紋画像の復元,(3)2次元経路探索,(4)ボロノイ図生成のアルゴリズムを数値解析用ソフトウェアMATLAB上において実装し,総合的な評価を行う.ディジタル反応拡散システム(DRDS)は多次元の非線形ディジタルフィルタとしてモデル化されるため,その動作解析には膨大な計算量が要求される.そこで,計算量の削減ならびに並列シミュレーションについて検討を加える.
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次年度の研究費の使用計画 |
1.試作した人工触媒素子チップの測定のために,現有の電気化学計測システムおよび計測制御用コントローラを使用する.さらにそのプログラム制御のために,計測制御用ソフトウェアLabVIEWを平成24年度に計上する.2.上記測定を含む電気化学実験全般の遂行のため,計測制御回路作成用の電子回路部品,人工触媒素子チップ試作用の電極材料および薬品を平成24年度に計上する.3.反応拡散場の大規模シミュレーションのために,平成24年度に計上する数値解析用計算機および数値解析用ソフトウェアMATLABが必須である.4.成果がまとまり次第,内外の学術誌への投稿,学会・国際会議での発表を積極的に行う.そのための学会誌投稿料,国内旅費,外国旅費を平成24年度に計上する.
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