研究課題
セルアセンブリ仮説は、同一アイテムをコードするニューロン同士は結合する傾向にあり、その結果、密につながったかたまり部分(セルアセンブリ)が形成されると主張する。あるアイテムが脳内に想起されるとき、このアイテムをコードするニューロンが持続的に活性化される。セルアセンブリ内における神経活性の反響伝播が記憶想起に伴う持続活性の背景機構と考えられている。さらに、我々が多くのことを記憶するという事実は、脳におけるニューロンのネットワークに多くのセルアセンブリが埋め込まれていることを意味する。多肢択一の過程―これまでその神経機構のモデル化に取り組んできた―において、最初は個々の選択肢に対応するセルアセンブリがすべて活性化されるが、やがて一つのセルアセンブリだけが完全に活性化され、他のセルアセンブリの活性は静止状態に落ち着く。これまでに、一つのセルアセンブリが完全活性化されるまでの時間(決定時間)がWeberの法則とHickの法則を同時に満たすことを示した。本最終年度では、これまでに得られた学術的成果を社会・産業に還元すべく、そこから実用的な技術を導出することを試みた。ネットワーク科学では、ネットワークの中のノードが密なかたまり部分のことを「コミュニティ」と呼ぶ。実世界における様々なネットワークのコミュニティ構造がわかれば、大きな社会・産業上の利益が得られると期待されており、そのため、ネットワークからコミュニティを検出するアルゴリズムの開発は、ネットワーク科学の中心テーマとなっている。ニューロン、シナプス結合およびセルアセンブリを、それぞれ、ネットワークのノード、リンクおよびコミュニティに対応させることにより、多肢択一過程とのアナロジーとしてコミュニティを抽出することを提案した。正解コミュニティが既知のネットワークを用いた評価を行い、提案アルゴリズムの高いコミュニティ検出性能を示した。
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知能と情報(知能情報ファジィ学会誌)
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