研究課題/領域番号 |
23500382
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
勝山 成美 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00291906)
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キーワード | 奥行き知覚 / キャストシャドウ / 両眼視差 / サル / 機能的MRI |
研究概要 |
本研究は、キャストシャドウによる奥行き知覚の脳内メカニズムをさぐることが目的である。そのために、ヒトにおける機能的MRI実験と、サルによるニューロン活動の記録実験を行なう。 機能的MRI実験については、前年度に行なった実験の結果をまとめ、キャストシャドウの動きによって物体が奥行き方向に動いて(接近と離反)見える動画を観察中には、大脳皮質視覚野のMT/MST野、V3野、さらに頭頂間溝周辺部に有意な活動が見られることが明らかになった。これらの領野では、ランダムドットステレオグラムによる奥行き弁別でも活動が見られることから、両眼視差と単眼性奥行き手がかりの情報がこれらの脳部位で統合されている可能性がある。このデータは、さらに異なる解析法(multivoxel pattern analysis)によっても検討する予定である。 機能的MRI実験の結果をふまえ、平成24年度はサルによる電気生理実験に着手した。まず、ニホンザルに両眼視差によって物体が奥行き方向に動いて見える動画を呈示し、動きの方向の弁別課題を行なわせ、次にキャストシャドウによる奥行き知覚がサルでも可能かどうかを調べる予定である。本年度までに、両眼視差のある動画で、物体の接近と離反を弁別する課題を訓練したところ、サルは高い正答率で行なうことができるようになった。したがって次年度以降は、キャストシャドウによる接近・離反運動の弁別が可能かどうかを検討し、ついでヒトで活動の観察されたMST野、あるいは頭頂間溝からニューロン活動を記録し、同一のニューロンが両眼視差とキャストシャドウによる奥行き方向の動きに応答するかどうかを検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究計画では、平成24年度にはサルの大脳皮質視覚野からニューロン活動の記録を開始している予定であったが、現状ではその前の、サルの行動実験の段階である。これは、ヒトによる機能的MRI実験の結果解析に予想外の時間を要したのが最大の原因である。しかし、一通りの解析が終了した上、昨年度より大学院生1名が実験を共同で行なうことになったため、この遅れを取り戻せると考える。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、サルの行動実験を終了し、電気生理実験を行なう。最終年度であるが、時間の許す限りデータ収集を行なう。また、ヒトによる機能的MRI実験の結果を論文にまとめ、発表する。サルの行動実験についても、結果がまとまり次第、学会発表などを通じ、結果を公表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
本年度は、サルの行動実験を終了し、電気生理実験を行なう。最終年度であるが、時間の許す限りデータ収集を行なう。また、ヒトによる機能的MRI実験の結果を論文にまとめ、発表する。サルの行動実験についても、結果がまとまり次第、学会発表などを通じ、結果を公表する。
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