研究課題/領域番号 |
23500385
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
善岡 克次 金沢大学, がん進展制御研究所, 教授 (60200937)
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研究期間 (年度) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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キーワード | シグナル伝達 / 足場タンパク質 / MAPキナーゼ / マウス / 軸索 / JNK / 神経 / 神経変性 |
研究概要 |
軸索輸送は神経細胞の成長と生存に不可欠であり、その障害は神経細胞死や神経変性疾患の直接の原因となる。しかし、軸索輸送の制御機構については不明な点が多い。本研究は、最終的には軸索輸送の制御機構を分子レベルで理解することを目指している。その中で本研究課題では、MAPK経路の足場タンパク質JSAP1,2に焦点を当て、小脳プルキンエ細胞でのJSAP欠失により軸索障害を示す細胞小器官・タンパク質の同定、及びJSAPによる軸索輸送制御の分子機構解明を目指している。今年度の研究成果は以下の通りである。1.プルキンエ細胞特異的JSAP1,2ノックアウト[JSAP1,2 KO(PC)]マウスの経時的解析(生後4週齢、8週齢、12週齢、16週齢、20週齢、および24週齢マウスの解析)を行い、プルキンエ細胞の軸索腫大が神経細胞脱落に先立って起こることを明らかにした。軸索腫大は生後4週齢マウスから調べた全てのJSAP1,2 KO(PC)マウスで検出されたが、プルキンエ細胞数の減少は16週齢、20週齢、および24週齢マウスにおいてのみ認められた。2.JSAP1,2 cKO(PC)マウスで見出したプルキンエ細胞の軸索腫大と脱落が、真にプルキンエ細胞でのJSAP欠失に起因することを検証するため、プルキンエ細胞特異的に野生型JSAP1を発現するトランスジェニックマウスを用いたレスキュー実験に着手した。3.プルキンエ細胞でのJSAP欠失により軸索輸送障害を示すと考えられる細胞小器官・タンパク質を同定するため、免疫組織学的解析を行った。その結果、軸索腫大部位にミトコンドリアが局在することを強く示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画していたほぼ全ての実験に着手した。また、JSAP1,2ダブル変異体マウスの経時的解析を行い、軸索腫大が神経細胞脱落に先立って起こることを明らかにした。さらに、JSAP欠失により軸索輸送障害を示すと考えられる細胞小器官を同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究はおおむね順調に進展しており、基本的には当初の研究計画に沿って研究を推進する予定である。また研究計画について、大幅な変更はなく、研究を遂行する上でも特に問題点はない。しかし、プルキンエ細胞特異的に変異JSAP1を発現するトランスジェニックマウスを用いたレスキュー実験は、使用予定のマウスの繁殖が予定どおり進まなかったために、実験着手に遅延が生じた。今後、実験遅延を解消するために、当該トランスジェニックマウス及びプルキンエ細胞特異的JSAP1,2ノックアウトマウスの飼育数を増やす予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
繰越分は、次年度、プルキンエ細胞特異的に変異JSAP1を発現するトランスジェニックマウス及びプルキンエ細胞特異的JSAP1,2ノックアウトマウスの飼育経費増額分に充てる。他の研究費については、当初の計画に沿って使用する予定である。
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